我々は卵巣癌をとりまく微小環境において、腹膜中皮細胞(MC)を起源とする間質細胞集団を同定しており、それらを癌関連中皮細胞(CAM)と定義した。本課題ではCAMが担う卵巣癌の腹膜播種のメカニズム及び新規治療戦略の開発を目的とした。卵巣癌細胞を蛍光標識した後に、MC及びCAMと共培養させ、さらにシスプラチンを添加し、癌細胞の生存をフローサートメトリーにて観察した。その結果、MCに比較して、CAMとの共培養において生細胞の有意な増加を認めた。さらにCAMとの共培養下では、癌細胞はより間葉系形質を獲得することを示した。CAMからの刺激が卵巣癌細胞のプラチナ耐性に寄与する可能性が示唆された。
|