ドライボックスを用いた腹腔鏡縫合実習を行う医学部医学科5年生90人を対象とした。熟練した術者により持針、運針、および第一結紮・第二結紮を行うまでの手技を録画した映像を作成し、術者の視線を画面に表示した画像および術者の視線を表示しない画像の2種類の画像を準備した。 対象90人を、視線のある画像を見せる群と、視線のない画像を見せる群に分け、一定時間の練習ののち、縫合結紮完了までの時間を計測した。 解析に当たっては、本研究参加以前に腹腔鏡実習を受けたことがあるか否かによりさらに細分し、視線のある画像を見た群の中で腹腔鏡経験がある群(A群)、視線のある画像を見た群の中で腹腔鏡経験のない群(B群)、視線のない画像を見た群のなかで腹腔鏡経験がある群(C群)、視線のない画像を見た群の中で腹腔鏡経験がない群(D群)の4群で検討した。 A群とB群の間で有意差を認め、熟練者の視線による教育効果は器械の操作を経験後に発揮されることが示唆された。
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