現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
絨毛SP細胞の分離と特性の解析 1) ヒト絨毛細胞株(HTR8-SVneo)より、SP細胞とnon-SP 細胞を分離し幹細胞の特性であるSP再出現率、継代コロニー形成能、長期増殖能、絨毛幹細胞マーカー(CDX2)発現を比較検討した。 2)マイクロアレイやメチレーションアレイを用いて、HTR8-SVneo-SP細胞とnon-SP細胞の間で発現に差がある遺伝子を同定した。 3)分化条件でSP細胞を培養し、栄養膜細胞に分化させ、2)で同定したSP細胞で発現が亢進している遺伝子群の中から、分化により発現が減少する幹細胞マーカーを同定した。 4)3)で同定された幹細胞マーカーsiRNA導入により発現抑制系を作製し、 SP出現率、増殖能、運動能、浸潤能とともにEMT関連シグナル分子(Vimentin,Twist,Snail,fibronectin等)のmRNA,蛋白の発現を解析した。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト子宮内膜細胞の幹細胞維持や細胞老化に関与するシグナルと着床との関連の解析 1)同意を得た不妊治療中の患者から、診療の一環として採取された着床前の子宮内膜を初代培養し、 SP細胞の出現率や我々の予備的実験で幹細胞に発現が亢進していたABCG2,ALDH1,IL-1R1,HER2の発現をmRNA,蛋白レベルで解析する。2)上記細胞を用いて細胞老化に関与するp21,p16,p53や細胞老化特異的βガラクトシダーゼ(SA-βgal)の発現、細胞と細胞培養液中、同時期に採取された血液を用いてSASP(Senescence-associated secretory phenotype)関連する炎症性サイトカイン(IL-6,IL-1)、 炎症性ケモカイン(IL-8,CXCL9)、MMPsの発現を解析する。以上の発現と着床率との関与を検討する。 3次元培養による幹細胞と微小環境(ニッチ)の解析1)コラーゲンビトリゲルを用いて分離した絨毛SP細胞を上層に、着床成功例と不成功例の子宮内膜初期培養細胞を下層に培養し、絨毛細胞の増殖、浸潤度を解析する2)上層の絨毛細胞に関しては前年度同定した幹細胞マーカーやEMT関連シグナル分子(Vimentin,Twist,Snail,fibronectin等)の発現や細胞老化シグナル(p21,p16,p53)を免疫染色法で解析するとともにSA-βgal染色を行う。3)下層の子宮内膜細胞に関しては、幹細胞シグナル(ABCG2,ALDH1,IL-1R1,HER2)の発現や細胞老化シグナル(p21,p16,p53)を免疫染色法で解析するとともにSA-βgal染色を行う。
|