研究課題/領域番号 |
15K15610
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10209702)
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研究分担者 |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90286534)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80317198)
小野 政徳 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70348712)
荒瀬 透 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (20348709)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生殖医学 / 幹細胞医学 / 脱細胞化 / 再細胞化 |
研究実績の概要 |
手術検体より得られた子宮から単離された直後の子宮平滑筋細胞には、SP細胞およびCD34+/CD49f+細胞が存在し、これらが幹細胞特性を有することは確認したが、手術検体の子宮平滑筋組織から得られた平滑筋細胞を培養した後にレンチウイルスでGFPを導入した細胞では、高い増殖能は認められるものの、極めて少数のSP細胞およびCD34+/CD49f+細胞しか存在していなかった。この少数の幹細胞量では引き続いての幹細胞特性の検証や確認は困難であった。これらの幹細胞画分をより多量に検出するための至適条件の探索を行ったが、その条件を見つけることは容易ではなく、細胞種の変更や類似の幹細胞分画(CD34+/CD49b+細胞、子宮「平滑筋腫」の幹細胞画分、Yin P, et al., JCEM, 2015)に対する解析の必要性が示唆された。少数の細胞を出発材料にして筋腫発生モデルを構築しなければならないことが予想されたため、効率よく筋腫様組織を発生させるために、細胞の足場とともに幹細胞分画を移植する戦略を取ることにした。その基盤データを得るため、ラット子宮を界面活性剤にて脱細胞化したものを足場として、まずこの脱細胞化子宮骨格を別のラットの子宮欠損部にパッチとして貼り付けたところ、パッチ貼付部に子宮が再生された。その再生様式は、脱細胞化骨格のトポロジーに規定されることが示されたことから、実際のヒト子宮筋腫発生モデルの作成に際しては、ヒト平滑筋腫から得られた脱細胞骨格を使用するのが望ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手術検体より得られた子宮から単離された直後の子宮平滑筋細胞には、SP細胞およびCD34+/CD49f+細胞が存在し、これらが幹細胞特性を有することは確認していたが、手術検体の子宮平滑筋組織から得られた平滑筋細胞を培養した後にレンチウイルスでGFPを導入した細胞では、高い増殖能は認められるものの、極めて少数のSP細胞およびCD34+/CD49+細胞しか存在していなかったため、幹細胞特性の検証や確認が困難であった。そのため、特に、幹細胞の単離と特性解析がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
われわれが有するヒトGFP発現子宮平滑筋幹細胞に加えて、市販(Lonza)あるいはアカデミアに対して供与されている複数のヒト子宮平滑筋幹に細胞を入手して、これらに対して幹細胞の単離と特性解析を同様に行う。また、われわれのデータでは、正常子宮平滑筋細胞のうちCD34+/CD49f+細胞が幹細胞特性を有しているが、共同研究先のノースウエスタン大学医学部産婦人科のブルン教授のグループは、子宮平滑「筋腫」細胞のなかでCD34+/CD49b+細胞が幹細胞の性質を有していると昨年報告した(Yin P, et al., JCEM, 2015)。このCD34+/CD49b+細胞も含めて候補の幹細胞集団について、それぞれの細胞集団から単離ならびに幹細胞特性解析を行う。また、幹細胞からの子宮筋腫発生モデルに拘泥せず、平滑筋細胞全体に対してCRISPR/CAS9によるゲノム編集を行うことにより、筋腫様細胞・組織が発生するか否かを検討する予定である。さらにin vivoで効率良く筋腫様組織を構築するために、ヒト子宮の平滑筋組織あるいは筋腫組織から作成した脱細胞化骨格を足場にしたモデルを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額の発生は、進捗状況で述べた通り、幹細胞の単離が当初の想定より困難であったためであり、また効率的な物品調達を行った結果である。
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次年度使用額の使用計画 |
幹細胞特性の解析に要する経費の一部を翌年度の同様の幹細胞特性解析のために使用する予定である。
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