研究課題/領域番号 |
15K15614
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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研究分担者 |
香取 幸夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20261620)
菅野 彰剛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20578968)
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60332524)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経科学 / 発声 / 脳磁図 / 時間―周波数解析 |
研究実績の概要 |
発声の多くは随意運動であるが、出力された音声が聴覚系によりフィードバックされ、構音、調音などがコントロールされている。本研究では、発声における聴覚フィードバック機構の動的可視化、すなわち、発声に関与する運動系と感覚系の局在間ネットワークの1ms単位の時間軸上での可視化を脳波、音声波形、喉頭筋電図の同時記録、解析により実現することを目的としているが、本年度は昨年度作成した脳磁図を用いた解析システムを用いて「音程調節発声における脳内活動磁場の時間―周波数解析」を正常例を対象に実施を開始した。具体的には、500 Hz, 707 Hz, 1000 Hz純音をreference toneとして用い、reference tone提示後(前述の3つのreference toneをランダムに提示)reference toneに合わせて/u/と発声する際の脳活動を計測、計測後off-lineで磁場変化の時間―周波数解析を実施した。 その結果、reference tone提示後から、従来から発声に関与されるとされる、上側頭回、縁上回などに加え、小脳、後頭葉、前頭葉などの活動が時間軸上に可視化されることが明らかとなってきたが、小脳、後頭葉、前頭葉の活動は、今回のタスクであるreference toneの音の高さを指標に”音程調節”を行うことに関連のある活動であることが示唆された。 最終年度は、さらに症例を重ね音程調節発声の正常パターンを確立するが、本研究成果は、音程調節の得手不得手などの個人差の解明のほか、吃音、機能性発声障害症例での検討へつながる重要な基礎データになるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音程調節発声時の脳内活動のダイナミズムを、脳磁図時間-周波数解析で可視化することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の計測をさらに症例を重ね、正常パターンの確立を行うとともに、各活動部位の生理的意義の解明を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、脳磁図と脳波の同時記録を予定したが、脳磁図記録の優位性が示唆されたため、脳波記録を割愛したため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年までは、脳磁図は無料で使用できたが、2017年2月より加齢医学研究所の共通機器になり使用料が発生することになったため、機器使用料として使用する予定。
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