研究課題/領域番号 |
15K15621
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大森 孝一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10233272)
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研究分担者 |
中村 亮介 福島県立医科大学, 医学部, 研究員 (40736708)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気管 / 再生 / Hippo / siRNA |
研究実績の概要 |
1. Hippoシグナル関連分子に対するsiRNA調製 培養系でHippoシグナル関連分子のノックダウンおよび、それに伴うHippoシグナリングを評価する上で必要となる抗体およびプライマー、レポーター遺伝子を選別し、特異性を調べた。Hippoシグナルにおいて中心的な因子であるYap1およびLats1に対するsiRNAを複数種調製し、培養細胞系でHippoシグナルの活性化に及ぼす影響を調べている。 2. 気管再生モデルにおけるHippoシグナル 気管の再生過程においてHippoシグナル関連分子の発現を免疫染色およびRT-PCRで調べたところ、Yap1およびLats1が気管再生過程において発現されることが確認された。さらに、気管欠損領域へと遊走する上皮細胞においてYapおよびTead1が核に局在する様子が観察されたため、上皮化の過程でHippoシグナルが抑制されていることが示唆された。 3. 気管再生領域へのsiRNA導入方法の検討 蛍光標識siRNAポジティブコントロールを用い、リポフェクション法によってsiRNAが気管再生領域に導入可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Hippoシグナルに関する研究のうち、ラットを実験動物として用いた研究はあまり報告がなく、免疫染色に用いる抗体や、遺伝子発現量を調べるためのプライマーなどに関して、ラットに対して特異性が示されているものの情報を既存の報告から得ることは困難であった。哺乳動物のHippoシグナルに関する研究ではマウスを用いた報告が多いが、気管再建実験をマウスで行うことは難しいため、動物種を変更するのではなく、抗体などの実験材料の調達に十分時間をかけることにした。 培養系でのHippoシグナル調節に関しては、プライマーや抗体の選別が遅れたことからsiRNAの評価を十分に行うことができなかった。しかし、一部の実験を前倒し、コラーゲンスポンジを移植した気管欠損領域における組織再生過程時リポフェクション法を用いてsiRNAを導入可能であることを確認できた。そのため、培養系でsiYap1およびsiLats1の評価が完了し次第、気管再生過程におけるHippoシグナル関連遺伝子のノックダウン実験を行うことが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に調達し、特異性を確認した抗体、プライマー、Yap-Tead複合体のレポーター遺伝子等を用いて、Yap1およびLats1のsiRNAが培養細胞のHippo経路へ及ぼす影響を評価する。続いて、コラーゲンスポンジを用いてラット気管欠損を再建し、siYap1およびsiLats1によりHippo関連分子の発現および局在がどのように変化するか、気管再生へどのように影響するかをReal time PCRおよび免疫染色により評価する。 現段階ではsiYap1およびsiLats1が十分にYap1およびLats1発現をノックダウン可能か確認できていないため、ノックダウン効果を十分に有するsiRNAの調製に時間を要する可能性も考えられる。最近の報告ではHippo経路のONあるいはOFFを調節可能な薬品が示されているため、これらの薬品をsiRNAの代替品として用いることで気管再生過程のHippo経路を調節することも考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養細胞を用いたsiRNA実験ではsiRNAやリポフェクション試薬を使用するが、これらの試薬は5-10万円程度するため、本課題における主要な支出要因である。平成27年度では細胞培養系におけるsiRNA実験の評価が十分に進行できず、平成27年度の使用額が当初の予定を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度で十分に達成できなかった実験を平成28年度に行う。
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