IL-21は活性化B細胞に作用してIgE クラススイッチを抑制し、またマスト細胞も抑制することで、アレルギー病態を抑制する。そこでIL-21は、アレルギー鼻炎を制御する新しい生物製剤として有用な可能性がある。しかし、IL-21は多彩な生理活性を呈するため、望ましくない応答を惹起させないためには、アレルギー応答がおこる局所にIL-21を投与ないしは発現させることが望まれる。そこで本研究では、IL-21遺伝子の発現を誘導する人工転写因子(マウスIL-21プロモーター領域に結合するgRNAとdCas9VP160)を開発し、アレルギー性鼻炎の新しい制御法につなげる。293T細胞にプラスミド(マウスIL-21プロモーターでドライブされるホタル・ルシフェラーゼ、マウスIL-21人工転写因子)を導入し、経時的にNanoDLR Assayを行った。31種類作成した人工転写因子のうち人工転写因子を導入していないものに比べて、4倍以上上昇したものが15個得られた。上記15個の人工転写因子を3T3細胞(IL-21を全く発現していない)に導入し、qRT-PCRにてIL-21の発現を評価したが、IL-21発現を誘導できなかった。そこで、人工転写因子を様々な組合せで複数個同時に導入したところ、qRT-PCR にてIL-21発現誘導を確認することができた。本研究で得られたIL-21発現誘導できる人工転写因子のペアーの経鼻投与の条件を最適化し、さらに種々の時間(感作前、感作中、感作後)に経鼻投与して、IL-21人工転写因子のアレルギー局所へのデリバリーとIL-21発現誘導の効率、それによって惹起されるIgEクラススイッチの抑制、Th2応答の抑制、マスト細胞の活性化抑制を評価し、将来的なアレルギー性鼻炎の制御に応用する。
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