研究課題
本研究期間を通してマイクロ流路を利用したさまざまな負荷に対する細胞反応評価・活性酸素測定を行い流路に組み込むバイオ電池作製の可能性を検討した。(1)生体適合ポリマーを利用してマイクロ流路を作製し、(2)マイクロ流路デバイスの特性を利用してさまざまな細胞培養を行い、その細胞に負荷を与え、(3)細胞応答をモニタリングしながら、活性酸素やグルコース代謝過程で発生する水素イオンを測定できる可能性を探った。結果:(1)27年度に作製できたPDMSモールドに網膜色素上皮細胞(ARPE)をこの流路の一端から流し込み、流路内に培養できることを確認し、28年度はアウトレットから回収される代表的因子として還流液中のVEGFの量を定量することが出来た。我々の流路培養では流路上方にVEGFが多く分泌されていた。さらに27年度成功できなかったHUVECのARPEとの共培養に成功した。非常に興味深いことに共培養されたHUVECはARPE側に移動することが観察できた。しかもこの移動は低グルコース負荷で著名になった。コバルトの負荷でも同様の減少が見られ負荷が加わったときのほうがHUVECの移動はより極端になることが推測された。付加の確認はARPEに組み込んだ低酸素感知の重要転写機構であるhypoxia-inducible factor-1 (HIF)が作用するとEGFPを発現するARPEを利用することで行なった。本流路が利用可能であることが判明し、しかも負荷による培養細胞死はミトコンドリアがかかわる可能性が判明し、活性酸素の発生の変化がミトコンドリアで見られたために、最終目的であるバイオ電池作製の第一歩になった。
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