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2015 年度 実施状況報告書

ストレスによる眼内グリア細胞の分子的変化解明の試みと網膜変性疾患病態形成との関連

研究課題

研究課題/領域番号 15K15628
研究機関東京大学

研究代表者

渡邉 すみ子  東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60240735)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード網膜 / マイクログリア / ミューラーグリア / 変性
研究実績の概要

ストレス負荷モデル(心不全モデル)、老齢マウスを用い視細胞変性が自然発症するかどうか検討を加えた。変性初期のサイン、マイクログリアの活性化についてはいずれも変化を観察することができなかったが、眼内サイトカインのレベルには変化があった。そこで、加齢マウスN-methyl-N-nitrosourethane(MNU)あるいはNaIO3といった視細胞変性を誘導することがしられている薬剤投与を行ったところ、ミューラーグリア、マイクログリアともにその活性化パターンはコントロールと異なっており、加齢による影響があることが示唆された。

正常(若齢)、ストレスマウス、加齢マウスにおけるミュラーグリア、マイクログリアを表面抗原とセルソーターで単離し、その遺伝子発現パターンをRNAseqで解析することを目標としたが、これまで用いていたCd44が不安定で、再現性の良い単離が行えないため、ミューラグリア細胞を単離するためのマーカーを検索した。様々な表面タンパク質の抗体を試し、あるたんぱくの抗体が、視細胞を標識するCd73と組み合わせることによりセルソーターでミューラーグリアの単離に至ることが明らかになった。RNAseqのためにソーティングを繰り返して細胞を収集している。同様に、マイクログリアの単離も当初予定していたマーカーではマクロファージも含まれてくるため、別のマーカーを利用することにし、このマーカーにより集められた細胞群から予想どうりの遺伝子発現パターンを得ることができたため、RNAseq及びChIPseqように細胞を収集した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

モデルマウスを用いってミューラグリア、マイクログリアが加齢などにより若年マウスと異なる性状を示すとことを明らかにすることができたば分子基盤の研究に移るためこれらの細胞を単離する段階で、これまで用いてきたマーカーがやや不安定であることが明らかになったため新たなマーカーを探すためにやや研究の進展が遅延した。しかし最終的に適切な、より良いマーカーを単離したため、やや遅れたが予定にしたがって研究は進展しておりまた遅れは取り戻すことができると考えている。

今後の研究の推進方策

ほぼ予定どうりに進めるが、ChIPseqの系を小さくすることが困難であったため、計画中でも述べられているChIPqPCRで進めることが現実的であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

モデルマウスを用いってミューラグリア、マイクログリアが加齢などにより若年マウスと異なる性状を示すとことを明らかにすることができたば分子基盤の研究に移るためこれらの細胞を単離する段階で、これまで用いてきたマーカーがやや不安定であることが明らかになったため新たなマーカーを探すためにやや研究の進展が遅延した。一方、ChIPseqの系を小さくする条件検討を行ったが、少ない細胞数では結果が不安定になるため、当初予定していた通り、ChIPqPCRで実験を進めることにした。このため初年度に予定していたRNAseqが2年度の始めに行うこととなり次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額を用いて、初年度に計画していたRNAseqをまず行う。この実験については、細胞表面抗原の選定が、すぐれた分子を見出したため、順調に進むことが期待される。続き、少数細胞からのChIPqPCRの条件検討も初年度に正確に完成したため、遅れを取り戻し、本来2年度に予定されていた、解析、機能評価を行う計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Regulation of retinal development via the epigenetic modification of histone H3.2016

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, S., Murakami A
    • 雑誌名

      Adv Exp Med Biol

      巻: 854 ページ: 635-641

    • DOI

      10.1007/978-3-319-17121-0_84

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Expression pattern of Ccr2 and Cx3cr1 in inherited retinal degeneration2015

    • 著者名/発表者名
      Kohno, H, Koso, H, Okano, K, Sundermeier, TR, Saito, S., Watanabe, S., Hiroshi Tsuneoka, H., Sakai, T.
    • 雑誌名

      Neuroinflammation

      巻: 12 ページ: 1-12

    • DOI

      10.1186/s12974-015-0408-3

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] MicroRNA-7a regulates Muller glia differentiation by attenuating Notch3 expression2015

    • 著者名/発表者名
      Baba, Y., Aihara, Y., Watanabe, S
    • 雑誌名

      Exp Eye Res

      巻: 138 ページ: 59-65

    • DOI

      10.1016/j.exer.2015.06.022. Epub 2015 Jun 26.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Roles Histone H3K27 tri-methylase Ezh2 in retinal proliferation and differentiation2015

    • 著者名/発表者名
      Iida, A., Iwagawa, T., Baba, Y., Satoh, S., Mochizuki, Y., Nakauchi, H. Furukawa, T., Koseki, H., Murakami, A., Watanabe, S.
    • 雑誌名

      Developmental Neurobiology

      巻: 111 ページ: 3751-3756

    • DOI

      10.1002/dneu.22261. Epub 2015 Jan 16.

    • 査読あり
  • [学会発表] 視細胞変性の病態メカニズムの分子基盤の解明を目指して2016

    • 著者名/発表者名
      渡辺すみ子
    • 学会等名
      順天堂アレルギー研究会
    • 発表場所
      大洗シーサイドホテル(茨城県、大洗町)
    • 年月日
      2016-03-09
    • 招待講演
  • [学会発表] 視細胞変性におけるマイクログリアの役割とその治療標的としての可能性2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺すみ子
    • 学会等名
      長崎大学医歯薬セミナー
    • 発表場所
      長崎大学医学部(長崎県、長崎市)
    • 年月日
      2015-10-02
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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