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2016 年度 実施状況報告書

免疫学に基づいた緑内障手術の新たな臨床エビデンスの確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K15630
研究機関福井大学

研究代表者

稲谷 大  福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40335245)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード眼免疫学 / 緑内障
研究実績の概要

トラベクレクトミーは、眼内と眼表面に交通ができ血液房水関門が破綻する。非常に興味深いことに、両眼にトラベクレクトミーを行うと、後で行った眼の成績が有意に悪い結果が得られた。ぶどう膜炎や内眼手術歴のある緑内障眼では、術後成績が著しく不良であることを明らかにした我々の研究報告も含めて、免疫応答がトラベクレクトミーの予後に重要であると考えた。全国5つの大学病院で両眼にトラベクレクトミーをおこなった症例を対象に調査をおこなった。84例169眼の原発開放隅角緑内障もしくは落屑緑内障患者が組み入れ対象となった。先に手術をおこなった眼(先行眼)と後に手術をおこなった眼(後行眼)との術後成績を比較すると、基準A(5~21 mmHg)、基準B(5~18 mmHg)、基準C(5~15 mmHg)のいずれでも有意な差はみられなかった。しかし、先行眼で手術が成功した症例のみで、後行眼の成功率を解析すると、先行眼と後行眼との手術間隔が2ヶ月以上経った症例のほうが2ヶ月以内であった症例よりも成績が悪いことがわかった(基準A, 52.0% vs 83.6%, P = 0.0031; 基準B, 51.5% vs 80.4%, P = 0.026; 基準C, 51.1% vs 80.4%, P = 0.048)。多変量解析でも、より長い手術間隔がリスク因子として確認された(基準A, P=0.0055; 基準B, P=0.0023; 基準C, P=0.027)。しかし、先行眼で手術が不成功だった症例では、間隔が有意な因子として確認できなかった。先行眼にトラベクレクトミーで作成されたブレブによって血液房水関門が破綻し、その状態が長期化することで免疫が獲得され、後行眼のブレブ作成時に炎症反応が惹起され、後行眼の手術成績が不良になる作業仮説と一致した結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多施設調査のデータを解析し、仮説どおりの研究成果が得られ、その発表論文が採択されたから。

今後の研究の推進方策

当初の平成29年度の研究計画通り、今後の研究を推進する予定である。

次年度使用額が生じた理由

3月におこなうウサギを使用する動物実験の条件決めに再考を要したため、予定していた実験の一部を次年度におこなうこととしたため。

次年度使用額の使用計画

ウサギの購入に使用し、実験を予定どおり施行する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Randomized Clinical Trial for Early Postoperative Complications of Ex-PRESS Implantation versus Trabeculectomy: Complications Postoperatively of Ex-PRESS versus Trabeculectomy Study (CPETS)2016

    • 著者名/発表者名
      Arimura S, Takihara Y, Miyake S, Iwasaki K, Gozawa M, Matsumura T, Tomomatsu T, Takamura Y, Inatani M
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 6 ページ: 26080

    • DOI

      doi: 10.1038/srep26080.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The effect of triamcinolone acetonide or bevacizumab on the levels of proinflammatory cytokines after retinal laser photocoagulation in pigmented rabbits.2016

    • 著者名/発表者名
      Arimura S, Takamura Y, Miyake S, Gozawa M, Iwasaki K, Tomomatsu T, Matsumura T, Inatani M.
    • 雑誌名

      Experimental Eye Research

      巻: 149 ページ: 1-7

    • DOI

      doi: 10.1016/j.exer.2016.06.004.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Prospective observational study of conjunctival scarring after phacoemulsification.2016

    • 著者名/発表者名
      Gozawa M, Takamura Y, Miyake S, Yokota S, Sakashita M, Arimura S, Takihara Y, Inatani M.
    • 雑誌名

      Acta Ophthalmologica

      巻: 94 ページ: e541-e549

    • DOI

      doi: 10.1111/aos.13071.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Comparing trabeculectomy outcomes between first and second operated eyes: A multicenter study.2016

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki K, Takamura Y, Nishida T, Sawada A, Iwao K, Shinmura A, Kunimatsu-Sanuki S, Yamamoto T, Tanihara H, Sugiyama K, Nakazawa T, Inatani M.
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 11 ページ: e0162569

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0162569.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Clinical evidence for the most effective filtering surgery.2016

    • 著者名/発表者名
      Inatani M
    • 学会等名
      32th Korean Glaucoma Society
    • 発表場所
      韓国ソウル市JWマリオットホテル
    • 年月日
      2016-11-18 – 2016-11-19
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 福井大学眼科学教室

    • URL

      http://www.med.u-fukui.ac.jp/GANKA/

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公開日: 2018-01-16  

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