研究課題
我々がこれまで行ってきた緑内障眼における房水中の生理活性物質のプロテオミクス的解析により、正常眼(白内障眼)や原発開放隅角緑内障眼と比較して、一般的に濾過手術成績が不良とされるぶどう膜炎続発緑内障や血管新生緑内障では顕著に房水中IL-6、IL-8、MCP-1濃度が高いことが示され、これらの炎症性サイトカインが緑内障濾過手術に負の影響を持つ可能性が示唆されている。本研究では結膜局所での炎症性サイトカインの影響を検討することを目的として検討を行い以下の結果を得た。結膜線維芽細胞由来の培養上清およびTGF-β2により筋線繊維芽細胞へ誘導した結膜筋線維芽細胞由来の培養上清を用いて単核球細胞の遊走能を比較したところ、筋線維芽細胞由来の培養上清では遊走能が低いことが分かった。線維芽細胞由来の培養上清に対するTHP-1の細胞遊走はCCR2阻害剤やMCP-1中和抗体により抑制される。培養上清中のサイトカイン量をマルチプレックス法にて解析した結果、筋線維芽細胞培養上清ではMCP-1濃度が低下していることが分かり、筋線維芽細胞化することでMCP-1分泌が抑制されることが示唆され結膜局所の創傷治癒過程の制御に形質転換が重要な役割を担っていることが推測された。次に、末梢組織では主にマクロファージが標識されるとされるLysosome M (Lys-M)-eGFPマウスを用いた2光子顕微鏡による生体イメージングを行った。眼球結膜表面へのMCP-1刺激によりLys-M陽性細胞数は増加し、活動性を表す細胞運動速度が有意に上昇した。CCR2阻害剤投与により細胞数およびその運動速度は低下したことから、MCP-1は結膜局所においてCCR2を介しLys-M陽性細胞を集積、活性化させるものと考えられる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
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