研究課題/領域番号 |
15K15642
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
新開 統子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80301612)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 臍帯由来間葉系幹細胞 / 細胞シート / 肺低形成 / 先天性横隔膜ヘルニア |
研究実績の概要 |
1.臍帯幹細胞の継代培養:PromoCell社から購入したヒト臍帯幹細胞(UCMSCs)を継代培養した。しかし、細胞増殖率が不良で、細胞シートを作成できるまで細胞の増殖させるのは困難であった。また、培養液との親和性を確認する実験を行い、MDEM/F12,10%FBSまたはLonza社のヒト間葉系幹細胞用培地に親和性を確認した。 2.幹細胞への蛍光色素導入:幹細胞を可視化し、細胞動態の追跡に使用する目的で、ライフサイエンス社のCellVueの蛍光色素を幹細胞に導入した。蛍光色素濃度を3段階に分けて、作用させ細胞毒性や細胞増殖への影響を確認した。3倍濃度までであれば、細胞継代中に細胞毒性や増殖不良をきたすことはなかった。また、観察した約1ヶ月間に蛍光が減弱することはなかった。 3.幹細胞シート:細胞シートを効率よく作成するために、透過性コラーゲン膜を用いて、蛍光色素を導入した幹細胞をコラーゲン膜上で培養した。動物へ移植するまでは行えなかった。 4.ラット胎児肺とUCMSCsを共培養し、48時間の無血清培地上で培養した。共培養グループは非共培養グループに比してLung budの増加率が有意に高かった。これは、UCMSCsの刺激により、胎児肺が自らの成長因子の分泌増加を行ったか、UCMSCsからの成長因子の分泌により、分枝が促進されたものと考えた。 5.ラット胎児肺とUCMSCsを共培養した肺を用いて、胎児肺の分化誘導時に重要な役割を果たす、ShhのmRNAレベルの発現を観察した。両グループに発現の有意差はなかったが、より肺の分枝が多い共培養グループのShhレベルは低かった。これは、分枝が活発に起こっていることにより、Shhが抑制されたためであり、共培養グループの分化がより盛んであることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
購入した幹細胞の増殖が遅く、継代培養が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
1.ヒト臍帯幹細胞を分離培養し、蛍光色素を導入し継代培養を行う。 2.蛍光色素を導入したヒト臍帯幹細胞をコラーゲン膜上に培養し、シート化する。 3.上記のシートを動物に移植し、細胞動態を経時的に観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した細胞の継代培養が困難で、十分な細胞数を得られなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒト臍帯から間葉系幹細胞の分離培養を行い、十分な細胞数を得るようにする。
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