研究課題/領域番号 |
15K15643
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩中 督 東京大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (90193755)
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研究分担者 |
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60528438)
石丸 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00633629)
光石 衛 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90183110)
杉田 直彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70372406)
原田 香奈子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80409672) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児外科 / 内視鏡外科 / 力センサー / ポート |
研究実績の概要 |
体腔の小さい新生児や乳児の内視鏡手術では、カメラスコープが臓器に近接し視野が狭くなるため、視野外での臓器損傷を引き起こす危険がある。また、術具挿入部の間隔が狭いので術具同士の干渉により動作が制限されやすいという問題もある。 本研究では、臓器への負荷や術具の干渉を内視鏡のポート部分にかかる力から検出し警告を発するIntelligent Port System を開発し、より安全な小児内視鏡手術を目指す。研究期間内にポートの開発、計測・解析・フィードバックシステムの構築、有用性評価を行う。ポートに力センサーを設置する事で、既存のどの術具を用いても利用可能なシステムを開発し、実臨床への導入、成人内視鏡・ロボット外科領域への普及を容易化する。 平成27年度では、力センサーを搭載した内視鏡手術用ポートの開発を行った。ポートにかかる力は、圧力ガイドを介してセンサーに伝わる機構とし、リアルタイムでPC上に表示かつ記録できるシステムを制作し、そのプロトタイプが完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度では、センサーの機構部の改良を何度か行い、内視鏡手術用ポートの開発に時間を要したため、術具先端が臓器や他の術具と干渉して生じる力とポートのセンサーが計測する値との関係性を明らかにする実験を行うには至らなかった。 しかし、開発したポート自体は形になっており、その実験を速やかに行うことができるため、翌年度以降の計画には影響しないものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、術具先端が臓器にかける力とポートのセンサーが計測する力との関係を明らかにし、ポートの改良を行う。また、必要に応じて実際の動物の臓器を用いて、圧迫や牽引で損傷する場合の力を計測し、警告をするべき力の大きさを検討する。 平成29年度は、力センサーで検出した力が、それが術具の干渉によるものか、臓器への過度の圧迫や牽引によるものかを判別できるアルゴリズムを作成する。また、術者の熟練度とポートにかかる力の関係を解明する。小児外科医を対象に異なる熟練度の医師にあるタスクを行ってもらい、その際にポートにかかる力を解析することでその詳細を明らかにする。 鉗子先端から生じる力をセンサーが上手く検出できないようであれば、ポートに取り付けるセンサーの位置を変更する、力を検出する方法を変える、といったシステムの改良を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、研究費の多くを物品費(ポート開発)のために計画的に使用していった結果、予想されていたコストよりやや開発費が下回ったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度にも引き続きポートの作成、改良を行うため、次年度の予算と合わせてポートの開発費として使用する予定である。
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