研究課題
体腔の小さい新生児や乳児の内視鏡手術では、カメラスコープが臓器に近接し視野が狭くなるため、視野外での臓器損傷を引き起こす危険がある。また、術具挿入部の間隔が狭いので術具同士の干渉により動作が制限されやすいという問題もある。本研究では、臓器への負荷や術具の干渉を内視鏡のポート部分にかかる力から検出し警告を発するIntelligent Port System を開発し、より安全な小児内視鏡手術を目指す。研究期間内にポートの開発、計測・解析・フィードバックシステムの構築、有用性評価を行う。ポートに力センサを設置する事で、既存のどの術具を用いても利用可能なシステムを開発し、実臨床への導入、成人内視鏡・ロボット外科領域への普及を容易化する。これまでに力センサを搭載した内視鏡手術用ポートの試作、ポートの評価実験を行うための評価機器の選定、ポートの挙動を外部カメラで撮影するシステムを導入した。ポート内部に圧センサを設置した試作機を開発し、基礎的な動作実験を行った。実験より鉗子を動かした方向や状況によって、鉗子先端から生じる力をポートで検出できないケースや検出された力がどのような状況下で生じたのかが判断し難いことがあった。そこで上記課題に対して、これまで使用していた圧センサを複数使用したり、センサをポート外部に設置したり、力センサ以外のセンサ(加速度センサ、位置センサ)を新たに組み込むなどにより本システムの改良を行った。