研究課題/領域番号 |
15K15646
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
田尻 達郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80304806)
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研究分担者 |
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
木村 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10315963)
東 真弓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10380453)
文野 誠久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40405254)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児外科 / 細胞工学 / 幹細胞 |
研究実績の概要 |
先天性横隔膜ヘルニアにおける成長し運動能を有する新規補填材料として,幹細胞からの骨格筋シート作成を目的としている. 当初は,iPS細胞を経て誘導された筋芽細胞を作成し,臍帯静脈内皮細胞,間葉系幹細胞の3種の異種細胞を共培養することで,ヒト血管網を有する骨格筋スフィアを作成し,スフィアを生体内で結合,血液灌流させ機能的な骨格筋シートを構成させることを目標とした.具体的には,商業ベースの各種細胞をウェルプレートで混合し,作成したスフェロイドを,NOD/SCIDマウスの腎被膜下に移植,7日後に腎ごと摘出し組織学的に検討した.結果として,約72時間で細胞が凝集し,最大径2mmの細胞塊が作製可能であり,作製したスフェロイドは細胞播種14日後も生存を確認できた.さらにスフェロイド同士の融合も確認できたが,融合数を増やしてもスフェロイドの大きさは融合数に関わらず同程度であった.マウス腎移植組織の検討では,未熟な紡錘形細胞を多数確認できたが,明らかな血管網の構築は確認できなかった. そこで,次に線維芽細胞からの骨格筋細胞へのDirect Reprogamming systemの開発を試みた.ヒト線維芽細胞に対して,MyoD遺伝子と各種転写因子を組み合わせてレトロウィルスベクターを用いて共導入し、14日間の培養ののち、検証した。また、遺伝子導入後7日間の培養ののち、NOG/SCIDマウスに細胞塊を皮下移植し,7日後に摘出し免疫染色にて確認した.In vitroでは,MyoDとL-Mycの組み合わせが,筋原性因子であるMyogeninやCK-Mが最も高発現し,その分化効率は70-80%であった。In vivoにおいても,多核の骨格筋細胞様へと分化し生着していることが確認された. 以上より,本技術は多能性幹細胞を経由することなく,より安全に効率的に自己細胞から骨格筋細胞を作成できる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の方法論とはやや違うアプローチとなったが,筋細胞への効率の形質転換を実証でき,今後の展開が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
作成した筋細胞をシート状で生体内で培養し,骨格筋シートの作成を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
幹細胞を用いる研究から,direct conversionへと研究計画が変更になったことから,細胞購入や培養液などが予定より少ない経費で購入できた.また学会発表も国際学会での発表が予定よりも少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
ある程度研究がまとまってきたため,平成29年度は国際学会を中心に学会発表及び論文発表を行得る状態であり,平成28年度経費を使用する予定である. また,研究費も追加研究やインキュベーターなどを新規購入などで使用する予定である.
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