研究実績の概要 |
難治創傷の内でも重症下肢虚血(CLI)は、特に患者状態や状況によって通常の血行再建術が適用できない場合があり、現存の血行を維持しつつ遊離皮弁や全く下肢血行とは独立した血行支配の局所皮弁で治療する事などが選択されることがある。放射線障害は組織線維化を引き起こし、創傷治癒にとって不利であり、外科手術単独では障害範囲が明白でなく局所血行安定部位が救肢することは困難な事が多い。脂肪由来幹細胞(Adipose-derived Stem Cells, ASCs)は下肢虚血モデルに有用とされており、細胞の担体として、放射線照射されていない腹部遠隔脂肪弁による血行付加しASCsは血行付加と共に有効であり、足底の創傷治癒は、4mmパンチ孔で開け、当初12.56 mm2であったが、1週の対照、グループ1、グループ2,グループ3、グループ4では各々 3.3 ± 2.96, 11.0 ± 1.84, 10.1 ± 3.48, 10.2 ± 3.63 and 4.3 ± 2.59 mm2, であり、グループ4はたの3群と比較して、有意に創傷治癒促進していた(p<0.01)。2週ではグループ1は1, 7.1 ± 3.99 mm2の創を認めたが、他は完全に閉鎖した。Von Willebrand因子は血管数は1週で、グループ2(脂肪弁なし+ASC細胞)群とグループ4(脂肪弁+ASC)群がグループ1(脂肪弁なし+ASCなし)群と比較して有意に高値であり、グループ4は2週でも他の3群と比較し有意に高値となった。EGFを用いた追跡では皮弁無しの群にASCsの投与により、組織内での発現も有意に上昇した。結論として、最も効果的な下肢の血行再建はASCに血管茎付脂肪弁で治療した群であり、2週までにASCは増殖し移植後分化もすると考えられた。
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