研究課題/領域番号 |
15K15655
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
須永 中 自治医科大学, 医学部, 助教 (00406117)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ケロイド |
研究実績の概要 |
まず、手術により患者から採取したケロイド組織と正常皮膚の検体を破砕して、タンパク質を抽出することを試みた。破砕には初めにホモジナイザーを用いたが、硬度の高いケロイド組織を破砕するのに非常に難渋し、複数の検体が失われた。試行錯誤のうえ、結局乳鉢と液体窒素を用いて粉砕する方法が、最も再現性高くケロイド組織を破砕できることが明らかになった。タンパク質抽出バッファーを用いて、破砕した組織よりタンパク質を抽出・定量した。ケロイド組織由来のタンパク質抽出液(以下 Ke-P)と正常皮膚由来のタンパク質抽出液(以下 NS-P)を、ヒト由来樹状細胞の培養液に添加・培養した後、ヒト由来樹状細胞よりRNAを抽出して、リアルタイムPCRによって炎症性サイトカイン遺伝子の発現を比較解析した。ここでも、添加するタンパク質量とRNAを抽出するまでの培養期間の条件設定に難渋し、有限な患者検体由来のタンパク質の大半を使用することになってしまった。以上の理由により、NS-P添加と比較してKe-P添加において有意に発現が上昇するマーカー遺伝子の同定にはいたらなかった。今後は、NS-P添加と比較してKe-P添加において有意に発現が上昇するマーカー遺伝子を同定したうえで、ショ糖密度勾配遠心法によってタンパク質の分子量に応じてNS-PとKe-Pを分離し、それぞれの分画をヒト樹状細胞に添加する実験を行い、添加によってマーカー遺伝子発現を上昇させる分画を同定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
例年より対象疾患の手術症例が少なかったうえ、組織のホモジナイゼーションや条件設定の段階で試行錯誤を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に確定させた条件設定のもとに、NS-P添加と比較してKe-P添加においてヒト由来樹状細胞で有意に発現が上昇するマーカー遺伝子を同定する。ショ糖密度勾配遠心法によってタンパク質の分子量に応じてNS-PとKe-Pを分離し、それぞれの分画をヒト樹状細胞に添加する実験を行い、添加によってマーカー遺伝子発現を上昇させる分画を同定する。そして、同定された分画内のタンパク質解析により、ケロイド発症に関与するDAMPsを同定する。
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