研究課題/領域番号 |
15K15663
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 崇生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40328810)
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研究分担者 |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
小池 薫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10267164)
佐藤 格夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30409205)
金涌 佳雅 日本医科大学, 医学部, 講師 (80465343)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 敗血症 / 脳脊髄液 / NMR |
研究実績の概要 |
1. 敗血症モデルの作成と検体収集:本実験では、S-D雄ラット(8週齢、体重310g前後)を用いた。入荷から1週間の馴化期間を設けた。イソフルレンで吸入麻酔させたラットに、LPS(E. coli 0111:B4, SIGMA)を2 mg/kg(n=5) 、LPS 10 mg/kg(n=8)ならび、対照ラットとして生食水(n=7)をそれぞれ腹腔内投与し、敗血症病態モデルを作成した。投与から約5時間経過を観察した。観察時間中に死亡する個体はいなかったが、対照ラットと比べると、敗血症モデルラットの活動性は低下しているものと観察された。各ラットは再度イソフルレンにて麻酔し、開腹・開胸した。最初に18ゲージ注射針で心室から心臓血を採血し、次いで脱血による安楽死を行なった。安楽死後、直ちにに27ゲージトンボ針を用いて後頭下から大槽内の脳脊髄液を採取した。最後に断頭処理をし、頭蓋骨を翻転させ、全脳組織を採取した。心臓血と髄液は遠心分離し、また脳は液体窒素で直ちに凍結後、いずれの検体も-80℃で保存した。
2. NMR測定試料の調整・計測:敗血症における脳への影響を観察するために、採取した髄液・脳・血液を試料としたNMR測定を7テスラ(300MHz)FT-NMR 装置(JEOL)を用いて、測定核種としてプロトン(1H)で実施する予定であり、現在、その作業を進めている。現時点では、試料の測定を完了していないが、これは平成28年度へ継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度に実施した動物実験についてはおおむね予定通りの進捗と評価する。ただし、動物実験により採取された脳脊髄液は微量であった。またラット脳脊髄液という試料としての特殊性もあったので、これを直ちにNMR計測することはせずに、NMR計測の条件を詳細に検討することに重点を置くこととなり、これに時間を要した。また、その解析方法についても、新規のNMR信号の処理方法として現在独自に開発を進めている方法を、本動物実験での脳脊髄液等のサンプルに適応して解析する予定となり、その適応方法についての検討にも時間を要した。したがって、当初予定していた平成27年度のNMR計測については、その進捗がやや遅れているものとして評価した。
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今後の研究の推進方策 |
計測や解析方法の検討結果に基づき、平成27年度に実施した動物実験で採取した各種検体のNMR計測・解析を実施する。脳脊髄液のNMR信号から敗血症ラット群と対照ラット群の識別が可能か否かを検討する。また、血清サンプルについても同様の解析・検討を実施する。研究代表者、あるいは必要に応じて研究分担者は、解析結果の逐次検討を重ね、両群の識別がより明確になるようにモデルのブラッシュアップを行う。解析結果によっては、再度動物実験を行う予定とする。解析方法に改善が必要と認められれば、解析プログラム・ソフトのアップデートや改良を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
所定の目的を研究期間内に達成されるように、当初の実験計画について再検討を重ね、また、サンプルの特殊性に鑑み、我々が現在独自に開発しているNMR信号の処理方法についても適応することが望ましいと判断し、平成27年度はそのNMR計測・解析について事前に十分な検討を重ねることにより重きを置いた。その結果、NMR計測・解析に必要な経費を平成28年度へ支出する計画となったため、その分の使用額が生じたものとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験で採取した各試料分についてのNMR計測・解析費用を支出する。また解析結果の検討が研究代表者と研究分担者あるいは研究分担者間で円滑に実施されるように必要な費用を支出する。解析結果に基づき、追加の動物実験が必要と判断されれば、実験動物費ならび追加分の計測・解析費が必要となる。また、解析プログラム等の改善に要する経費も必要となる場合も考えられる。
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