研究課題/領域番号 |
15K15665
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大西 光雄 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (70597830)
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研究分担者 |
嶋津 岳士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50196474)
姜 晋求 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50721114) [辞退]
廣瀬 智也 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70597509)
松本 寿健 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70644003)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 衝撃波 / 遅発性脳損傷 / 爆傷 / 行動試験 / 活性化マクロファージ |
研究実績の概要 |
爆発によって生じる衝撃波による損傷は第一次爆傷として研究が進められている。爆弾テロによる犠牲者が世界的な問題となっている現在、衝撃波による損傷を解明することは喫緊の課題であった。過去に胸部への衝撃波により徐脈・血圧の低下・無呼吸を呈するメカニズムは迷走神経反射であることを示したが、今回は、ラット頭部への衝撃波による軽度脳損傷モデル(blast induced mild traumatic brain injury:bmTBI)を作成した。衝撃波作成装置のノズルからの距離を調整し、肉眼的に脳損傷を認めない距離が2.5cmであることを決定し、その際の衝撃波の圧力が646.2±70.3kPaでることを測定した。衝撃波を受けたラットの体重を測定したところ、受傷後3日間は食物の摂取量が減少し、体重も減少した。しかし、その後はcontrol群のラットとほぼ同様の体重増加量を示した。脳損傷に関して、3日後、1週間後、2週間後、6週間後と経時的にラットの脳をIba-1抗体で染色したところ、1週後までは染まらず、2週後から特に視床・視床下部で染まることが確認され活性化マクロファージが増加していると考えられた。これは、衝撃波による脳損傷が軽度であるように見えても、長期的に脳に炎症性変化を来す可能性が示唆された。この2週後からの発生が示唆される脳の変化が行動にどのような影響を及ぼすか、行動試験を行った。衝撃波受傷2週間後に行った強制水泳試験ではcontrol群と比較して有意に無動の時間が延長し“うつ”を連想させる状態になっている可能性が示唆された。また、同時期に行ったY迷路試験においてはcontrol群と比較して有意に記憶力の低下が示唆される結果を得た。これは衝撃波損傷を受けたと考えられる兵士等で報告されているPTSDに似た状態の動物モデルとなることが期待された。今後、治療法の開発の研究を開始する予定である。
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