本研究の目的は重症患者の赤血球に沈着する補体成分と患者の重症度や合併症の発症等との関連性を明らかにすることである。①重症患者において赤血球上に補体の沈着が有意に認められること、また、どのような疾患で補体沈着が認められるかを確認する。②補体沈着を測定する患者の重症度をスコアを用いて数値化し、検査データなども含め補体沈着の度合いとそれぞれ関連があるかどうかを確認する。 平成28年度は平成27年度の研究に引き続き、関西医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送された患者の検体を集め、赤血球表面上の補体成分C4dをフローサイトメトリーで定量した。また、患者情報を集計し、血液ガスデータ、生理学的重症度(APACHEIIスコア、SOFAスコア)のスコアリングを行った。 ①重症患者において赤血球表面上に補体沈着が優位に認められるかについて結果を以下に示す。来院患者n=25 のMean Fluoroecence Indexの平均値は40.7であり、対象に使用した健常成人のMFIの平均値(23.1)に比較して優位に高い結果(p<0.05)がみられた。②次に患者の重症度を示すAPACHEⅡスコア、SOFAスコアとC4dの沈着を示すMFIとの相関関係を統計学的に解析をしたが、有意な相関は見られなかった。 検査データはAPACHEIIスコア、SOFAスコアに反映されているが、それぞれの単独の検査データとC4dのMFIについては明らかな相関関係は見られなかった。 これらの結果の一部については28年度の第44回日本救急医学会で発表を行い検討の機会を得ている。
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