研究課題
炎症に伴う病的な骨破壊の場に於いて高度に活性化された破骨細胞は正常に骨改造を営む破骨細胞とは異なる分化状態にあるものと考えられ、破骨細胞の膜表面分子の発現パターンにちがいがあるものと推定される。本研究では病的に高度な骨破壊能を獲得した破骨細胞が特異的・選択的に高発現する膜表面分子群を検索・同定することを最終的な目的として研究活動を実施した。まず、病的に高度の骨吸収能を有する破骨細胞を形成する条件を検討した。さまざまな条件を検討した結果、炎症性サイトカインIL-1βの存在下で形成される破骨細胞に非常に高度の骨吸収能を認めた。酸感受性蛍光プローブを用いたイメージング解析の結果、IL1β存在下に形成された破骨細胞が象牙質表面に向けて活発に酸を分泌することが明らかになった。キンドリン3及びタリンという蛋白質はインテグリンβ鎖に結合しインテグリンを活性化させる能力をもつ蛋白質であり、正常破骨細胞の機能発現に重要であることが報告されている。IL-1β存在下に形成誘導された破骨細胞と正常破骨細胞におけるこれらの蛋白質の発現を検討したところ、IL-1β処理によりキンドリン3とタリンの発現が顕著に抑制されることを見出した。更にIL-1β存在下に形成された活性化破骨細胞の膜表面分子の解析を試みたところ、IL-1β処理により誘導される膜表面分子の存在を示唆するデータを得ることができた。本研究は病的活性化破骨細胞のみを標的とする新規方法論の開発につながる研究である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件)
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