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2016 年度 実施状況報告書

腱・靱帯を見分けるmolecular signatureの探索

研究課題

研究課題/領域番号 15K15679
研究機関鶴見大学

研究代表者

二藤 彰  鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)

研究分担者 江面 陽一  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50333456)
荒木 良子  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, チームリーダー(定常) (40392211)
中島 和久  鶴見大学, 歯学部, 講師 (90252692)
島田 明美  鶴見大学, 歯学部, 講師 (00339813)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード腱細胞 / 靱帯細胞 / 遺伝子発現 / エピジェネティクス
研究実績の概要

本研究では腱・靱帯を見分けるmolecular signature(発現分子の差)があるかという課題にとり組んでいる。解剖学的に見分けのつきやすい、マウスの長趾屈筋腱と膝内側側副靱帯それぞれの組織ならびに細胞を用いて解析を行っている。molecular signatureをゲノムワイドに解析するために、腱組織、靱帯組織、腱細胞、靱帯細胞それぞれからRNAを抽出し、RNAseq解析ならびにそれぞれの遺伝子について詳細な解析を進めた。発現の差が大きく見られた遺伝子の中で、Gene ID: 23892は、肢芽発生期に間葉組織に発現が認められた。さらに肢芽から骨の原基が出来る時期においては、骨の周囲および骨と骨の間の組織に局在が認められた。一方Gene ID: 19223も、機能は酵素として知られているものであるが、多くの組織での局在が認められ、発生では骨原基の発生初期に、筋肉から腱への移行部周囲に局在が認められた。Gene Aは心臓での機能が知られている核内分子であるが、肢芽発生期において、間葉組織に局在が認められ、骨格原基形成に伴い、骨格の周囲に局在が認められた。Gene Bは他の組織で組織圧に対するmechanosensing.の機能が報告されているが、興味深いことに、肢芽の発生においては骨原基の周囲にも局在が認められている。Gene Cは筋肉の分化に関与すると考えられている分泌タンパクであるが、靱帯組織では低く、腱組織では発現が高い。発生期には筋肉原基にも発現が認められるが、骨原基周囲にも認められている。Gene Dは免疫応答や組織障害に関わる分子として報告があるが、肢芽の発生においても骨原基の周囲にも局在が認められている。これらは、腱や靱帯ではこれまで報告されていない分子であるが、本研究で骨格形成期には骨周囲にも局在が認められ、候補分子となり得る可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究ではin vivoの腱と靱帯組織を分離し、それぞれの遺伝子発現の比較をすることで、差として見えるものをmolecular signatureの候補とすることを目指している。網羅的な遺伝子発現解析の結果から、間葉系組織に発現が知られているものも見つかっているが、それ以外の、これまであまり間葉系組織分化で注目されていない分子も多く候補分子として見つかっている。実際それらの局在は肢芽の間葉系組織に局在していた。つまりこれらの中には新たなmolecular signatureの候補になり得る分子が含まれている可能性がある。したがって、研究計画書に従った結果が蓄積しつつあり、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

これからさらなる分子の絞り込みを行う。そのためにマウスの長趾屈筋腱と膝内側側副靱帯それぞれの原基組織での局在を主としてin situ hybridizationによって詳細に調べ、それぞれの分子が腱あるいは靱帯に局在するか否かを検討する。コラーゲンゲル培養法で腱・靱帯細胞の培養を行い、力学的負荷時の分子の発現解析も行う。さらに、絞り込んだ分子の機能解析のために、まず全長cDNAのクローニングと、siRNAの設計後in vitroで腱細胞の primary cultureに対して強制発現あるいは発現抑制を行う。靱帯細胞はまだin vitroで培養が困難であるが、実験条件の検討も行う予定である。さらにin vivoでの機能解析はトリ胚を用いエレクトロポレーションによってcDNAあるいは、siRNAを導入し発生に及ぼす影響を検討する。

次年度使用額が生じた理由

前年度に比べて、とりわけ物品費に節約ができた。その理由として前年度に購入した試薬がまだ活性も量も十分あり、それらを用いて今年度も効率良く実験を進めることができた。

次年度使用額の使用計画

次年度はin situ hybridizationによって詳細に解析する実験が多くなるのでそこで使用する試薬を購入する。また新たな実験手法としてトリ胚を用いるのでそこで必要な物品、試薬を購入する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Bardet-Biedl Syndrome 3 regulates development of cranial base midline structures.2017

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki M, Izu Y, Hayata T, Ideno H, Nifuji A, Sheffield VC, Ezura Y, Noda M.
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 101 ページ: 179-190

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bone.2016.11.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Histone deacetylase inhibition enhances in-vivo bone regeneration induced by human periodontal ligament cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Huynh NC, Everts V, Nifuji A, Pavasant P, Ampornaramveth RS.
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 95 ページ: 76-84

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bone.2016.11.017

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Essential roles of G9a in cell proliferation and differentiation during tooth development. Experimental Cell Research.2017

    • 著者名/発表者名
      Kamiunten T, Ideno H, Shimada A, Arai Y, Terashima T, Tomooka Y, Nakamura Y, Nakashima K, Kimura H, Shinkai Y, Tachibana M, Nifuji A.
    • 雑誌名

      Experimental Cell Research

      巻: - ページ: -

    • DOI

      doi: 10.1016/j.yexcr.2017.05.013

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] BMP-2 Enhances Lgr4 Gene Expression in Osteoblastic Cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Pawaputanon Na Mahasarakham C, Ezura Y, Kawasaki M, Smriti A, Moriya S, Yamada T, Izu Y, Nifuji A, Nishimori K, Izumi Y, Noda M.
    • 雑誌名

      J Cell Physiol.

      巻: 231 ページ: 887-895

    • DOI

      doi: 10.1080/09205063.2016.1139486

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cationized gelatin hydrogels mixed with plasmid DNA induce stronger and more sustained gene expression than atelocollagen at calvarial bone defects in vivo.2016

    • 著者名/発表者名
      Komatsu K, Shibata T, Shimada A, Ideno H, Nakashima K, Tabata Y, Nifuji A.
    • 雑誌名

      Journal of Biomaterials Science, Polymer Edition.

      巻: 27 ページ: 419-430

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bone.2016.02.017.

    • 査読あり
  • [学会発表] 腱組織形成におけるヒストンメチル化酵素G9aの機能2016

    • 著者名/発表者名
      和田悟史、出野尚、島田明美、上運天 太一、中村芳樹、中島和久、木村宏、眞貝洋一、立花誠、二藤彰
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-12-02
  • [学会発表] ヒストンメチル化酵素 G9aのマウス歯牙発生における機能2016

    • 著者名/発表者名
      上運天太一、出野尚、島田明美、中村芳樹、木村宏、新井嘉則、立花誠、中島和久、二藤彰
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30
  • [学会発表] ヒストンメチル化酵素 G9aの骨芽細胞分化における機能2016

    • 著者名/発表者名
      出野尚、小松浩一郎、島田明美、新井嘉則、中島和久、荒木良子、安倍真澄、立花誠、木村宏、二藤彰
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30
  • [学会発表] ヒストンメチル化酵素G9aは腱組織の正常な発生に必要である2016

    • 著者名/発表者名
      和田悟史、出野尚、島田明美、上運天太一、中村芳樹、中島和久、木村宏、眞貝洋一、立花誠、二藤彰
    • 学会等名
      第58回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-08-25
  • [学会発表] マウス歯牙形成過程におけるヒストンメチル化酵素 G9a の機能2016

    • 著者名/発表者名
      上運天太一、出野尚、島田明美、中村芳樹、木村宏、立花誠、中島和久、二藤彰
    • 学会等名
      第58回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-08-24
  • [学会発表] Essential roles of H3K9MTase G9a during tooth development2016

    • 著者名/発表者名
      出野尚、上運天太一、島田明美、中村芳樹、中島和久、木村宏、立花誠、二藤彰
    • 学会等名
      第34回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-07-21
  • [学会発表] Annexin a5による腱・靭帯付着部(enthesis)における線維軟骨層の石灰化の制御2016

    • 著者名/発表者名
      島田明美、新井嘉則、和田悟史、出野尚、中島和久、小松浩一郎、山下照仁、江面陽一、網塚憲生、中村芳樹、二藤彰
    • 学会等名
      第34回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-07-20

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公開日: 2018-01-16  

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