研究実績の概要 |
我々は未だ未解決なNF-κB, p65サブユニットの534番目のセリン残基の生理的役割を解析するために534番目のセリン残基をアラニンに置換したノックインマウス(S534Aマウス)を作製した。S534Aマウスは野生型マウスと比較して、わずかに体重の増加傾向が認められた他に明らかな表現型は見られなかった。しかし、高脂肪食で飼育したところ、1週間後には著明な体重および皮下脂肪の増加と4週間後には脂肪肝が認められた。一方、野生型およびS534Aマウス由来の線維芽細胞株(MEF)を樹立し、TNFαで刺激したところ、S534A MEFではp65の核移行が長時間持続し、NF-κBの転写活性が亢進した。これらの結果から、p65 S534のリン酸化特異的な負のフィードバック機構が存在すると考えた。そこで存在の明らかになっていないp65 S534のリン酸化特異的に結合する分子を同定し、さらにNF-κBによる新たな調節機構を明らかにした。
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