舌根沈下は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などのさまざまな換気障害を引き起こすリスク要因であるが、その成因の詳細は未だ不明である。そこでラット動脈灌流標本を用いて高炭酸ガス負荷時の舌筋を含む上気道筋の活動を解析した。その結果、高炭酸ガス負荷によって記録したすべての上気道筋運動神経で前吸息相に活動が出現し、その振幅が増大した。また上気道筋の前吸息相の活動は、強制呼気の指標である腹直筋活動と相関した。高炭酸ガス負荷におけるこのような上気道筋群の活動は、声門開大前に気道を十分拡張させて換気を促進すると考えられる。舌根沈下は、これらの調節メカニズムが何らかの原因でうまく機能しなくなったものと推察される。
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