研究課題/領域番号 |
15K15690
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
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研究分担者 |
森 士朗 東北大学, 大学病院, 講師 (80230069)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 講師 (80302157)
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80447169)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リンパ節転移 / リンパ節転移モデル / ニッチ形成 / 画像診断 / 造影CT / 造影超音波画像 / 血管密度 / 超早期診断 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒトと同等の大きさのリンパ節を有するリンパ節転移モデルマウス、MXH10/Mo/lprマウスのリンパ節における転移病巣形成に至るニッチ形成を、造影マイクロCT画像および造影高周波超音波画像を用いて解析し、リンパ節転移形成過程における血管やリンパ管の変化を明らかにし、ニッチ形成をリアルタイムに観察できる新たな画像解析システムを開発することを目的とする。これまで、MXH10/Mo/lprマウスの腸骨下リンパ節にルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を接種し、マウスリンパネットワークにおいて腸骨下リンパ節の下流に位置する固有腋窩リンパ節における転移病巣形成過程を生体発光イメージング装置および造影高周波超音波画像解析装置を用いてリアルタイムで解析し、さらに同時期の転移病巣を造影マイクロCT画像で解析した。その結果、転移リンパ節の大きさが増大する以前に転移リンパ節内の血管密度の増大が確認され、リンパ節転移の初期段階においては、リンパ節の大きさの変化に先行してリンパ節内の血管密度が増大することが示された。平成28年度において、超早期の転移リンパ節における腫瘍新生血管の増生に関して免疫組織学的に検討してみたところ、転移リンパ節の大きさが増大する以前の転移リンパ節内の血管密度の増大は、腫瘍新生血管の増生に起因するものではなく、リンパ節内の既存の血管の拡張によることが明らかとなった。しかし、この血管密度の変化が、リンパ節内に転移した腫瘍細胞によるものか、あるいはリンパネットワークにおいて上流に位置するリンパ節内の腫瘍細胞が産生した血管増殖因子等がリンパ管を介して送達され誘発されたものかは未だ不明であり、さらに詳細な解析が必要かと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、MXH10/Mo/lprマウスの腸骨下リンパ節にルシフェラーゼ発現腫瘍細胞を接種し、マウスリンパネットワークにおいて腸骨下リンパ節の下流に位置する固有腋窩リンパ節における転移病巣形成過程を生体発光イメージング装置および造影高周波超音波画像解析装置を用いてリアルタイムで解析し、さらに同時期の転移病巣を造影マイクロCT画像で解析した。その結果、転移リンパ節の大きさが増大する以前に転移リンパ節内の血管密度の増大が確認され、リンパ節転移の初期段階においては、リンパ節の大きさの変化に先行してリンパ節内の血管密度が増大することが示された。さらに、超早期の転移リンパ節における腫瘍新生血管の増生に関して免疫組織学的に検討してみたところ、転移リンパ節の大きさが増大する以前の転移リンパ節内の血管密度の増大は、腫瘍新生血管の増生に起因するものではなく、リンパ節内の既存の血管の拡張によることが明らかとなった。以上の結果により、血管密度を指標としたリンパ節転移超早期診断法の開発の方向性を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、リンパ節転移の初期段階においては、リンパ節の大きさの変化に先行してリンパ節内の血管密度が増大することが示された。さらに、転移リンパ節の大きさが増大する以前の転移リンパ節内の血管密度の増大は、腫瘍新生血管の増生に起因するものではなく、リンパ節内の既存の血管の拡張によることが明らかとなった。しかし、この血管密度の変化が、リンパ節内に転移した腫瘍細胞によるものか、あるいはリンパネットワークにおいて上流に位置するリンパ節内の腫瘍細胞が産生した血管増殖因子等がリンパ管を介して送達され誘発されたものかは未だ不明であり、さらに詳細な解析が必要かと思われた。今後、超早期リンパ節転移診断においては、診断対象とするリンパ節を個々のリンパ節として捉えるのではなく、リンパネットワークとして捉える必要があるかと思われ、リンパ節転移モデルの解析おいて、リンパネットワークの上流および下流のリンパ節を同時に解析する実験系を現在検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
薬品、抗体などの一部が研究室にあったものを使用することができ、物品費を減額できた。また、学会発表が当初予定した回数より減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
超早期リンパ節転移診断においては、診断対象とするリンパ節を個々のリンパ節として捉えるのではなく、リンパネットワークとして捉える必要があるかと思われ、リンパ節転移モデルの解析おいて、リンパネットワークの上流および下流のリンパ節を同時に解析する実験系を現在検討中である。
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