研究課題/領域番号 |
15K15695
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20264054)
|
研究分担者 |
和田 裕子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70380706)
永田 健吾 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90189134)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 非コードRNA / 口腔扁平上皮癌 / がん形質 / RNA sponge |
研究実績の概要 |
平成27年度に展開した実験結果と成果報告は以下の通りである。 ① 標的遺伝子を増減させた細胞株間におけるmiRNA発現変化の検索:①-1) 新たながん促進性/抑制性miRNAを見出すため、操作する標的遺伝子には、がん発生初期に発生やがん形質変化に関連するとされる因子で、2011年にHanahan と Weinbergによってレビューされた“がんのホールマーク(特徴)”との関連が未だ明らかになっていないもの数種を用いた。これら遺伝子を複数のがん細胞株で増減させ、細胞株の樹立と操作法の確立を行った。①-2) ①-1)で遺伝子発現の増減によるgain/loss of functionを行ったり、阻害剤を用いるなどしてがん形質変化の確認を行った。結果、標的とした因子により“がんのホールマーク”である細胞死誘導あるいは薬剤耐性、細胞移動能や細胞増殖などの能力に影響することが見出された。しかし、使用した細胞株によりその変化の大きさに差が生じていたため、現在新たながん促進性/抑制性miRNA発現変化を検索するための細胞株の選択段階である。 ② ①で推測されるがん促進性miRNAを捉えるRNA spongeあるいはがん抑制性miRNAの口腔扁平上皮がん特異的発現系の作製:口腔扁平上皮がん特異的発現因子の5’上流域の単離を行い、がん促進性miRNAを捉えるRNA sponge発現系の準備を行った。一部口腔扁平上皮癌特異的発現制御の解析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子発現の増減によりがん形質変化が明らかとなった細胞株の確認実験と細胞株間によるがん形質変化の差を検討することで実験進捗が遅れ、細胞株間のmiRNA発現変化をベースに行う予定であった内在性RNA spongeの検索が行えていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞株間のmiRNA発現変化の検索を平成28年度に行うことにした。 検索結果が思わしくない場合、扁平上皮がんにも関連し、代表的ながん抑制遺伝子であるPTENの機能に影響するlong non-coding RNAであるPTEN pseudogene 1を実験指標に利用する。また、近年前立腺がんにおいてがん形質への影響が報告されているlong non-coding RNAであるPCAT1が食道がんにおいてもその影響が報告されており、これらと併せて比較検討することにより実験の展開を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
上記の通り、遺伝子発現の増減によりがん形質変化が明らかとなった細胞株の樹立が遅れたため、平成28年度に親株とがん形質変化が明らかとなった細胞株間のmiRNA発現変化の検索を行うことにした。
|
次年度使用額の使用計画 |
miRNA発現変化の検索費用と計上していた約50万円を繰り越し、平成28年度の物品費(分子生物学研究試薬)に組み込む。他は、申請予算にて行う。
|