研究課題
本研究では、口腔扁平上皮癌に対する非観血的治療法の開発を目的にて非コードRNA-RNA相互作用ネットワークを応用して口腔扁平上皮癌特異的に癌細胞形質変化を誘導させる発現するベクター作製のための基礎的研究を行った。期間内に展開した実験結果と成果報告は以下の通りである。① 標的遺伝子を増減させた細胞株間におけるmiRNA発現変化の検索:①-1) 新たながん促進性/抑制性miRNAを見出すため、操作する標的遺伝子には、がん発生初期に発生やがん形質変化に関連するとされる因子で、 “がんのホールマーク”との関連が未だ明らかになっていないもの数種を用いて検討した。①-2) ①-1)で遺伝子発現の増減によるgain/loss of functionや阻害剤を用いるなどして実験を行い、標的とした因子により細胞死誘導あるいは薬剤耐性、細胞移動能や細胞増殖などの能力に影響することが見出された。② 口腔扁平上皮癌特異的発現系ベクターの作製:がん促進性miRNAを捉えるRNA spongeの口腔扁平上皮癌特異的発現を試みるため、口腔扁平上皮癌特異的発現因子の5’上流域の単離を行い、これら因子の発現制御機構の解析を行った。その過程で、口腔扁平上皮癌において特異的発現を示すKRT17の機能解析ならびにその発現機構について一部明らかになった。KRT17 を高発現する口腔扁平上皮癌細胞株においてKRT17の発現をノックダウンすると、残存細胞数の減少とCleaved caspase-3陽性細胞数の増加を認め、また同細胞株においてGLI-1およびGLI-2の機能を抑制させると、KRT17の発現抑制とアポトーシスの誘導が確認された。一方、この細胞数の減少は、KRT17の過剰発現により部分的に回復した。口腔扁平上皮癌におけるKRT17の発現がGLIを介した抗アポトーシス作用による腫瘍形成の促進が示唆された。
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