歯髄、歯肉、骨の培養系における最終糖化産物(AGE)とリポ多糖(P-LPS)の作用及びシグナル伝達機構について調べた結果、歯髄細胞では、RAGE-MAPK経路を介しS100蛋白が上昇して歯髄石灰化が促進された。骨芽細胞では、オステオカルシンなどの骨形成指標の低下を通じP-LPSによる骨の石灰化抑制が助長され、骨細胞では、MAPK、P13K、NF-κBの関与が示唆された。一方、歯肉細胞では、MAPK 経路の関与が同様に示唆されるとともに、AGEはIL-6やICAM1の発現を増加させた。以上の結果は、AGEが老化や糖尿病における歯髄疾患や歯周病の特徴的為害性指標になりうることを示すものである。
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