研究課題/領域番号 |
15K15703
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
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研究分担者 |
重光 竜二 東北大学, 大学病院, 助教 (00508921)
月僧 博和 福井医療短期大学, リハビリテーション学科, 教授 (80215136)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨リモデリング / メカノバイオロジー / 骨密度生涯方程式 |
研究実績の概要 |
本年度は、顎骨の経年的骨密度に関するシミュレーションモデルの探索を目指して、経年的な骨密度方程式シミュレーションコードを組み込んだ顎骨有限要素モデル上でリモデリング解析を行った。 まず、有限要素解析ソフト(メカニカル・ファインダー、RCCM、日本)を用い、健常歯列を有する被験者のCTデータからHU値に基づく不均質材料特性を与えた顎骨モデルを構築した。モデル上で20回のイタレーション計算を行い、52歳相当時の骨密度分布のシミュレーションを行った。以前に報告した被験者CTデータの骨形状測定値に基づき、52歳相当時の骨密度分布により近似する荷重条件の検索を行った。 具体的には咬頭嵌合位での噛みしめ時の各筋筋力を、筋付着部の各点に負荷した上で、①右側歯列(右下1~7番)に平均咬合力を作用させた場合、②左側歯列(左下1~7番)に平均咬合力を作用させた場合、③左右側歯列(右下1~7番、左下1~7番)に交互に平均咬合力を作用させた場合の3ケースについて解析を行った。材料特性は、月僧によって提案された経年的な骨密度変化を考慮した骨密度方程式を適応経年的な顎骨各部の骨密度変化を算出した上でヤング率へ変換した。 解析結果上では、筋力を作用させることにより、以前のシミュレーションと比較して顎骨底部の骨形成が起こることが確認され、これまでのように顎骨底に仮想力を作用させる必要が無くなった。また、片側に平均咬合力を作用させた場合にも反対側の顎骨内での日罪エネルギー密度の発生が確認され、顎骨形成に影響を及ぼすことが明らかとなった。 今年度の結果は、欠損歯列における骨リモデリングの再現へと繋がる知見であり、次年度以降の解析精度の向上に期待ができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に準じて、種々の荷重条件における顎骨の経年的な骨密度変化様相のシミュレーションに成功している。本研究成果は、次年度以降の研究遂行に資するものであ る。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は研究計画に基づき、顎骨CTデータのシミュレーション結果との整合性確認を進める予定である。また解析ケースの増加により各種係数の妥当性も追求していく。 これにより顎骨の経年的骨密度に関するシミュレーションモデルの探索を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りであったが、本年度はシミュレーションコードの確立に重点を置いたためにやや解析ケースを限定した。これに伴ってデータ取得の為の関連予算が抑制された。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の解析ケーズの増加に伴うデータ取得予算として用いる予定である。
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