研究課題/領域番号 |
15K15704
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コラーゲン架橋 / 間葉系幹細胞 / 移植担体 / 架橋阻害剤 |
研究実績の概要 |
本研究は細胞移植の際に使用するコラーゲン・スキャフォールドの架橋制御が、材料の機械的強度を変化させるだけでなく、間葉系幹細胞の骨芽細胞分化を促進し得る可能性を有しているとの仮説から、架橋を変化させたコラーゲン・スキャフォールドを用いて幹細胞の分化制御を行い、細胞移植を併用した骨再生の場において有効な機能性スキャフォールドの開発、さらにその制御機構の一端を明らかにしようとする試みである. 骨芽細胞株(MC3T3-E1)を架橋阻害剤(beta-aminopropionitrile)存在下で培養し、架橋の異なるマトリックスを作製した。架橋阻害剤の濃度は細胞増殖およびコラーゲンの産生に影響を及ぼさずに架橋を阻害する至適濃度を設定することに成功した。Sodium deoxycholateを用いて細胞成分のみを取り除いてマトリックスのみを精製した後、マウス大腿骨骨髄由来間質細胞を播種し、その挙動を解析した。細胞の初期接着、細胞増殖Alkaline Phosphatase活性ならびに骨芽細胞関連遺伝子の発現ははマトリックス中の架橋量に反比例して増加する傾向を示した。以上の結果より細胞移植担体の架橋を変化させることにより、マウス骨髄由来間葉系幹細胞の増殖および骨芽細胞分化を制御できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養条件下での架橋条件の最適化はほぼ終了し、最終年度に当たる次年度は動物実験を行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
コラーゲン・スキャフォールドによる骨再生能を評価するために、ラット頭蓋組織欠損モデルを用いる.深麻酔下にて8週齢免疫不全ラット(F344/NJcl-rnu)に5mm径の骨欠損を作成する.欠損部にマウス骨髄由来間葉系間質細胞(BMSC)を播種したコラーゲン・スキャフォールドを充填し、縫合して封鎖する.一定期間後に屠殺し、μ-CTにて骨の回復を評価し、その後脱灰組織標本を作製して、組織学的に評価を行う.コラーゲン・スキャフォールドに含まれるBMSCの分化と生存を解析するために、移植初期についても組織標本を作製し、細胞増殖、細胞死、血管新生、骨芽細胞分化に関わる分子の発現動態について免疫組織学的に解析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
主として遺伝子解析に想定していたほどの費用を使用しなかったため本年度としては次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に当初計画していなかった追加の動物実験を予定しているため当該予算はその費用に充てる予定である。
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