我々は,骨髄由来間葉系幹細胞 (BMSCs)の未分化維持に特定のアミノ酸が関わっていると考え,スクリーニングを行い,トリプトファンがBMSCsの幹細胞性維持に関与している事を突き止めた.実際,in vitroにおいて,トリプトファン処理により,BMSCsのコロニー形成能や細胞遊走能が上昇することが明らかとなった.また,マウスにトリプトファンを腹腔内投与すると,骨髄内の間葉系幹細胞数が増加し,骨髄内の海綿骨量が増加すること,また,骨欠損部の骨再生が促進される事が明らかとなった.本結果は,骨再生の新たな治療法の開発や,幹細胞老化により生じる骨疾患の新たな治療に繋がると考える.
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