研究課題
本研究の目的は,疾病のフレイルの前段階にオーラルフレイルがあるという仮説に基づき,オーラルフレイルをより定量的に,より客観的に示すバイオマー力ーを設定することにある.その仮説がまず正しいかを1214名を対象としたアンケート調査を用いて検討した.フレイル関連項目として,体重,疲労感,握力,活動量,歩行速度に関する5項目を,オーラルフレイル関項目として,咀嚼や嚥下機能に加えて,残存歯,唾液,舌の機能に関する7項目を,食行動としては,「食認知」「食生活」「摂食行動」各6項目を設定した.フレイル関連項目は,50~60代で一旦減少した後,再度上昇するパターンを示し,50代,60代,70代においては男性よりも女性の得点が有意に高い値を示した.筋力低下,歩行速度の低下を示す得点は年齢の上昇とともに高くなる傾向が認められた.オーラルフレイル関連項目は,男性で50代,70代,90代でわずかな得点の減少はあったものの,年齢の上昇とともに一様の増加傾向を示した.とくに歯が悪いこと,唾液,食べこぼしにはその傾向が強く認められた.食行動については,「食認知」の得点はほぼ年齢変化は認められれず,「食生活」「摂食行動」は, 40歳以降で徐々に減少し,適正な食生活の方向に推移した.超音波測定と各種口腔機能測定によって,オトガイ舌骨の筋断面積と開口力,舌圧,嚥下の持続時間がそれぞれ比例し,筋量と咀嚼・嚥下機能との関連性が示された.筋線維タイプ(速筋/遅筋比)はサルコペニアは速筋から遅筋化へ,廃用性萎縮は遅筋化から速筋化に変位すると言われているが,咬合支持喪失群においては,速筋化が見られた.生体電気インピーダンスを用いた体成分分析において,体成分と握力との関係を調査した.筋関係の評価とフレイル・オーラルフレイルとの関係が示され,オーラルフレイルのバイオマーカーについても筋評価が重要であることが示唆された.
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