研究課題
幹細胞(iPS-cells/MSCs)は組織再生を目指し急速に研究が進められている。近年では自己免疫疾患(Yamaza 2010; Ruili 2011)や癌(Atsuta 2013)の治療などにも応用され、薬物治療のような副作用のない万能に近い理想の治療法として注目されている。しかし臨床応用が現実のものとなった今、幹細胞による治療効果の不安定さが新たな問題となっている。すなわち我々は今までの一連の幹細胞研究で、治療結果に大幅なバラツキが出ることに気付いた。これは投与される個体だけでなく採取される個体(疾患の有無、年齢など)の影響とされるが理由は不明である。そこで治療結果の安定化を目指して研究を進めることとなった。本研究チームでは、幹細胞に対するアスピリン処理によって如何なる幹細胞にも再生治療に耐えうる能力を賦活させ、予知性の高い治療を目指したものである。治療効果の安定性については幹細胞治療を進めていく上でクリアーしなければならない問題であり、この研究によって得られる成果は歯科のみでなく幹細胞を用いたあらゆる再生・細胞治療の基盤になったと自負する。具体的には、アスピリンによる前処理で幹細胞の活性を高め、少ない細胞数で安定した治療効果が得られた。つまり異常な幹細胞を採取しアスピリン処理して、非処理群と治療効果を比較し、その有用性を示すことができた。幹細胞の活性促進のためのアスピリン投与は共同研究を行っているShi教授のラボで近年注目しはじめたものであり、世界中のいかなるラボよりも研究実績がある。そのため得られた結果には信頼性があり、今後の研究の基盤となりうる。
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Stem Cell Res Ther.
巻: 17 ページ: 119
10.1186/s13287-016-0367-3.