研究課題
低濃度時にのみ機能するドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発することにより、抗がん剤など副作用の強い薬剤も効果的に使用可能な、濃度センサー機能を有した世界初のドラッグデリバリーシステムの開発を試みた。DDSを実践するキャリアである多糖誘導体の分子構造が薬剤との会合状態に及ぼす影響を検討するため、リン酸化率や分子量を変えた数種類のリン酸化プルラン(PPL)やリン酸化マンナンを合成し、サイズ・形状・表面物性や会合状態の構造変化を検討した。徐放機構のモデル薬剤として抗菌物質CPC(塩化セチルピリジニウム)を用いたところ、抗菌物質CPCのみでは高濃度でも洗浄後は十分な抗菌効果が得られなかったが、PPLとの複合体にすることにより、わずか100ppmの抗菌物質で優れた抗菌効果を発揮することが明らかになった。PPL-CPC複合体はCPC濃度200ppmでも優れた抗菌効果を発揮したが、高濃度で調整した複合体では抗菌効果を発現しなかった。これらの結果は、PPLを担体に用いた複合体が、低濃度時に機能し得る濃度センサー機能を有した画期的なドラッグデリバリーシステムの開発に向けて有用な物質であることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
目的としている低濃度時に機能する薬剤徐放機能を発現する薬剤-担体複合体のモデル物質の創製に成功した
H28年度は、濃度センサー機能の機構の解明、DDS機能の最適化を進めるとともに、細菌・細胞への効果の検討や、本担体の汎用性の検討も進めていく。
平成27年度中に購入し納品された物品の支払いが、28年4月になったため
上述の通り、既に使用決定済み
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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