研究課題
免疫システムの中で,CD4陽性T細胞は免疫応答に的確に制御する中心的な役割を持つ。一方で、I型糖尿病は,膵β細胞の破壊に伴うインスリン欠乏状態に起因する自己免疫性機序が成因である。そこで、この自己免疫疾患患者の自己の免疫系を改善するための補助的な方法として、歯髄幹細胞の効果を本研究課題にて確認した。I型糖尿病を自然発症するNODマウスの7週齢の脾臓を摘出後にリンパ球を採取して、ヒト歯髄幹細胞と共培養させた後に、細胞の生存数、Th17細胞数および制御性T細胞数を検討した。対象群として、リンパ球のみを培養した群を設定した。リンパ球を3日間培養後の生存率は、リンパ球のみを培養した群として比較して、共培養した場合のリンパ球数は有意に高い割合を示した。しかし、リンパ球の増殖能に変化は見られなかった。次に、制御性T細胞の割合は、リンパ球のみを培養した群と比較して、共培養した群は有意に高い割合を示した。しかしながら、Foxp3の発現は低かったので、今回は、過去の論文を参考にCD4/CD25/CD62Lを指標として、フローサイトメーターにて、解析を行った。一方で、Th17細胞数は、リンパ球のみを培養した場合と比較して、歯髄細胞と共培養することで、有意に低い割合を示した、次に、リンパ球のみの場合と共培養した際のサイトカインの発現量を網羅的に解析した。共培養した際のIL4、IL10、IL12, IFN-g, IL-17およびTGFbのサイトカインの発現量の変動が見られ、これらのサイトカインの中で特に、IL4, IFN-gおよびIL17の発現量が有意に減少を示した。一方で、TGFbの発現量が有意な増加を示した。これらの結果から、ヒト歯髄幹細胞には、I型糖尿病マウスの脾臓からのリンパ球の免疫能の制御を一定の割合で行うことが明らかとなった。
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