研究課題/領域番号 |
15K15725
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
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研究分担者 |
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70350824)
堀部 寛治 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (70733509)
雪田 聡 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80401214)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | M2マクロファージ / 修復象牙質 / Wntシグナル / 歯髄組織 / 免疫組織化学 |
研究実績の概要 |
窩洞形成後の修復象牙質形成過程におけるM2マクロファージの役割を明らかにするために、経時的に歯髄組織に出現する細胞およびWnt関連タンパク質の局在を免疫組織化学的に行った。正常な歯髄組織ではCD68陽性マクロファージは血管周囲にわずかに存在するのみであった。窩洞形成1日後には象牙芽細胞は壊死し、好中球が象牙質直下に認められた。3日目には壊死領域にCD68陽性マクロファージが出現し、7日後には窩洞直下の象牙質下に修復象牙質形成が認められた。Wnt関連タンパクの局在は1日後の好中球がGPR177(wntless)陽性を示し、3日後に出現するマクロファージはWnt10aおよびGPR177陽性を示した。また、7日後の修復象牙質直下の象牙芽細胞の核内にはβ-カテニン局在が認められ、象牙芽細胞周囲には好中球やマクロファージはほとんどみられなかった。一方、in vitro実験では骨髄造血細胞からM-CSFでマクロファージを誘導後、LPSで刺激してWnt10a発現を検討したが、発現上昇はみられなかった。 以上のことから、感染を伴わない場合の修復象牙質形成には壊死した象牙芽細胞を処理するために好中球やマクロファージなどの自然免疫系が活性化される。その際に分泌されるWntがWnt古典経路を介して、歯髄細胞を象牙芽細胞に分化させて、修復象牙質形成を誘導することが示唆された。今後、Wnt10a発現を誘導するメカニズムについては、壊死細胞によって放出されるATP、貪食などが考えられ、組織修復におけるマクロファージの役割についてさらに解析を進めることが必要である。
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