研究課題/領域番号 |
15K15726
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 和代 (栗林和代) 北海道大学, 大学病院, 助教 (70455674)
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研究分担者 |
間石 奈湖 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00632423)
秋山 廣輔 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (10609100)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40548202)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん / 腫瘍血管 / miRNA |
研究実績の概要 |
近年,がん微小環境を構成する血管(腫瘍血管)は,がんの進展ならびに治療の経過と共にダイナミックに変化し,正常血管とは異なる多様な性質をもつことが知られている.本研究では,これらの腫瘍血管の異常性獲得メカニズムに関するmiRNAを同定し,がんの浸潤・転移との関連などを明らかにすることを目的としている.まず初めに,悪性度の異なる2種類のがん細胞をマウスに皮下移植し,形成された腫瘍塊からそれぞれ腫瘍血管内皮細胞を,磁気ビーズ細胞分離法ならびにフローサイトメトリーにより,CD31陽性CD45陰性細胞分画として分離した.分離・培養した腫瘍血管内皮細胞が,血管内皮マーカーが陽性で,かつ血球マーカーが陰性であることを,フローサイトメトリーおよびPCR法にて解析し,血管内皮細胞としての純度を確認した.その後,それらの分離培養した腫瘍血管内皮細胞からそれぞれmiRNAを抽出し,miRNAアレイにて網羅的発現解析を行った.次に,悪性度の異なる2種類のがん細胞のそれぞれの培養上清から,exosomeを超遠心法により回収した.回収したexosomeがexosomeマーカーCD63を発現していることをWestern blotting法で確認した.その後,これらのexosomeからmiRNAを抽出し,miRNAアレイにて網羅的発現解析を行った.現在,がん細胞由来exosomeを血管内皮細胞に処理することにより,miRNAの発現が亢進するかどうか,アレイで見出したいくつかのmiRNAについて検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miRNAアレイにて網羅的な発現解析を行い,有望なmiRNAを比較検討している.
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今後の研究の推進方策 |
悪性度の異なるがん細胞由来exosomeに含まれるmiRNAの違いと,それぞれのがん組織由来の腫瘍血管内皮におけるmiRNA発現,ならびにそれらのmiRNAの標的分子について検討する.その後,これらの分子の発現変化が血管内皮細胞に及ぼす影響について検討する.さらに,着目したmiRNAががん由来exosomeにより運搬されるかどうか,in vivoで検討する.ヒト臨床検体を用いて,がんの悪性度や治療経過などの臨床病理学的因子とmiRNAの発現について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
exosomeを処理した血管内皮細胞miRNA検討のに時間がかかっているため次年度に繰り越すことになった
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次年度使用額の使用計画 |
フローサイトメトリー解析やmiRNAのPCRに必要な試薬や抗体に充てる予定である
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