研究課題/領域番号 |
15K15733
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
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研究分担者 |
高戸 毅 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90171454)
西澤 悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00646200)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 創薬スクリーニング / 疾患特異的iPS細胞 |
研究実績の概要 |
線維性骨異形成症(FD)の遺伝子変異と同様な変異を有するiPS 細胞の樹立を目的として、正常ヒトiPS 細胞(253G1)に対してCRISPR/Cas システムを用いたゲノム編集処理をおこなった。具体的にはFDの原因変異として201 番目アルギニンのシステイン置換が知られていることから [Sargin 2006 Endocr J]、253G1に対して同領域のCRISPR/Cas システムによるゲノム編集を2種類のsgRNAを設計して実施し、94クローンのiPS細胞を得ることができた。しかしクローン株の遺伝子を解析するとヘテロ変異が導入されたクローンは複数確認できたが、目的とするホモ変異の遺伝子変異株は含まれていなかった。そこで使用した2種類sgRNAのうち変異導入効率の高かった1種類を選択し、導入量を増やした条件で再度ゲノム編集を実施し新たに100クローンを樹立した。しかし本条件においてもヘテロ変異株は得られたがホモ変異株は得られなかった。 再度sgRNA投与量の最適化をおこなうとともにCRISPR-Casシステムのゲノム編集効率促進効果を有することが報告されている小分子化合物L755507およびSCR7 [Yu C, et al. Cell Stem Cell, 16(2):142-7.(2015)]の導入を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRISPR/Cas システムを用いて正常ヒトiPS細胞に線維性骨異形成症の遺伝子変異(Arg201Cys)と同様のゲノム編集処理をおこなって合計約200クローンの細胞株を作出したが、目的の遺伝子変異株は得られなかった。この結果よりCRISPR/Casシステムでは同領域のゲノム編集効率が低い可能性があることが示された。一方、ヘテロ変異株は得られており、設計したsgRNAが機能していることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、線維性骨異形成症の遺伝子変異株をゲノム編集を用いて作出することを試みる。改善点としてCRISPR/Cas システムで用いるsgRNA投与量の最適化をおこなう。同時にCRISPR-Casシステムのゲノム編集効率促進効果を有することが報告されている小分子化合物L755507およびSCR7 [Yu C, et al. Cell Stem Cell, 16(2):142-7.(2015) ]の導入を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
CGNAS1 遺伝子変異iPS細胞株をCRISPR/Casシステムによるゲノム編集で作出することを試みた。しかし目的とするGNAS1 遺伝子変異iPS細胞株を得ることができず、予定していた次段階の試験(骨分化誘導試験、化合物スクリーニング試験)を開始することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度に引き続き、iPS細胞のゲノム編集作業を外注する予定である。当初の予定では次年度の実験計画にゲノム編集作業は計上していなかったため、この費用に充てる予定である。
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