研究課題/領域番号 |
15K15735
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森田 圭一 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 助教 (10396971)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオバンク / 臨床情報管理 / SS-MIX2 |
研究実績の概要 |
近年、医学研究の中には多施設共同研究の割合が高くなってきているが、本研究は、各施設で個別に保存・管理している患者血液や病理組織標本などの研究試料に付随する臨床情報を、簡易型の電子カルテを模した共通のプラットフォームで管理・出力することにより、多施設共同研究における検体試料および付随臨床情報の利活用を安全かつ円滑に行う支援システムの開発を目的として開始した。 27年度は、定期的にPCR法やシークエンス反応によりサンプルの劣化の程度をモニタリングするために健常ボランティア末梢血由来のDNA、RNA、血清、血漿を既存の超低温冷凍庫への保存を開始した。また、超低温冷凍庫の庫内温度をモニタリングしながら温度掲示を定期的にスマートフォンで確認できるシステムをUSBカメラとDropBoxを用いて安価で汎用性のあるシステムとして構築した。さらに、電源ストップを感知し、液化炭酸ガスによる温度管理と特定の携帯電話に警報を送信するシステムを、メーカー推奨ではなく汎用機器で構築することにより、安価で汎用性のある検体管理システムの構築に成功した。 現在、厚生労働省電子的診療情報交換推進事業では、標準化ストレージおよび画像参照サブシステムなどのパッケージウエアを配布している。27年度は、本来Windows Serverにしかインストールできないこの配布パッケージウエアを改変し、Windows7で稼働する単体のPCにインストールする臨床情報匿名化管理システムを作成した。このことにより、SS-MIX2形式で保存された電子カルテ情報をWindows7で稼働するいかなる単体のPCにおいても閲覧するシステムの構築に成功した。これを基礎として、機能の改変を行い各施設における検体・臨床情報管理参照システムおよび中央施設における検体・臨床情報保存管理システムの構築をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は、サンプルの劣化の程度をモニタリングするために健常ボランティア末梢血由来のDNA、RNA、血清、血漿を既存の超低温冷凍庫への保存を開始した。また、モニタリングシステムをUSBカメラとDropBoxを用いて安価で汎用性のあるシステムとして構築した。さらに、警報を送信するシステムを、メーカー推奨ではなく汎用機器で構築することにより、安価で汎用性のある検体管理システムの構築に成功した。また、Windows7で稼働する単体のPCにインストールする臨床情報匿名化管理システムを作成した。このことにより、SS-MIX2形式で保存された電子カルテ情報をWindows7で稼働するいかなる単体のPCにおいても閲覧するシステムの構築に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に構築したシステムをファイルメーカーProによる統合管理システムへと発展させ、各管理システムとの連携テストをすすめていく。また、実際に保存検体を用いたゲノム解析などの結果に生ずる大量のデータを管理するシステムとの連携も行うため、汎用のゲノム解析ソフトとの連携テストも行う。さらに東京医科歯科大学歯学部附属病院診療情報システムの災害時バックアップシステ ムを模したダミーデータからなるデータ保存ハードディスクと東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターにおけるバイオバンク事業検体臨床情報管理システムを模したダミーデータからなるシステムとの間でテスト運用を行う。歯学部附属病院診療情報システムの開発ベンダは東芝メディカルシステムズ株式会社であり、本テスト運用が成功した後に、東京医科歯科大学医学部附属病院診療情報システムの災害時バックアップシステムのデータを模したダミーデータからなる保存ハードディスクに保存されているデータからデータ抽出、連携テストを行う。医学部附属病院診療情報システムの開発ベンダは富士通株式会社であり、本学だけで異なるベンダが開発した医療情報システムから排出される臨床情報に対するテストが完了する。また、スタッフ由来DNA、RNA、タンパクの保存後の経年劣化に対する品質チェックを並行して行う。その上で、本パッケージソフトウエアの無償配布の可能性について検討する。
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