研究課題/領域番号 |
15K15737
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阪井 丘芳 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (90379082)
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研究分担者 |
野原 幹司 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (20346167)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口蓋裂 |
研究実績の概要 |
口蓋裂は口蓋に披裂を生じる先天異常であり、遺伝的要因と環境的要因の両者が複雑に関係している。現在のところ、患者に対して、手術を行う治療法が主体である。新しい治療法が期待されているが、未だに発展していないのが現状である。口蓋の発生機序は両側の上顎突起より口蓋突起が発生し、癒合する際に、口蓋板の成長と水平転移または挙上、上皮細胞の接着と自己分解、間葉の癒合という段階を経ると言われているが、このうちのいずれかで障害が起こると口蓋裂が発生する。胎仔マウスをモデルとして用い、口蓋癒合時に口蓋突起に著しく発現する遺伝子群を同定した。このデータベースを活用して、口蓋癒合のメカニズムを明らかにしようと研究を進めている。 口蓋癒合に関わる遺伝子を同定し、それらの機能とメカニズムを解明するために、胎生期マウスの口蓋突起の癒合前、癒合中、癒合後の遺伝子発現をマイクロアレー法を用いて同定し、Keratin13が、癒合前をコントロールの1とすると、癒合中に112.6倍、癒合後に290.7倍に上昇することが確認できた。Ceacam1は、癒合中に38倍、癒合後に106.1倍に上昇、car3は、癒合中に37.4倍、癒合後に17.2倍に上昇した。現在、これらを含めて、さまざまな変化を有する遺伝子に着目して、RT-PCRや定量的real-time PCRにてmRNAレベルの発現量を確認している。膨大な遺伝子数であり、遺伝子の機能を予測しながら、解析を進めているところである。口蓋突起癒合部に特異的に発現する遺伝子の発現分布をin situ hybridization法と免疫染色法を用いて確認し、器官培養を用いたRNA干渉 (siRNA)法による阻害実験を用いて機能評価を行う予定である。本研究結果を国際口蓋裂学会等で報告し、様々な領域の研究者から意見をいただきながら、計画を推進しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
胎生期マウス口蓋突起の癒合時期に発現する複数の遺伝子を同定した。膨大な遺伝子数であり、遺伝子の機能を予測しながら、解析を進めているところであるが、かなり時間を要している。さらに、それぞれの機能を予測するため、免疫組織染色、in situ hybridization法を用いて、発現分布を確認している。引き続いて継続していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
口蓋突起癒合部に特異的に発現する遺伝子の発現分布をin situ hybridization法と免疫染色法を用いて確認し、器官培養を用いたRNA干渉 (siRNA)法による阻害実験を用いて機能評価を行う予定である。候補の遺伝子に絞るのに時間を要しており、いくつかの遺伝子に絞って、発現量の変化と分布を中心に解析している。さまざまな専門家の意見をいただきながら、特徴的な機能が予測される遺伝子に絞って、胎生期マウス口蓋突起の癒合時期に発現する遺伝子を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
口蓋形成に関与する遺伝子を網羅的に探索したところ、膨大な数の候補遺伝子を見いだした。すでに公開されているデータベースを用いて、1つずつ遺伝子の機能を推測しながら、発現量の解析と発現分布の確認を開始しているが、現在のところ、物品費や人件費を使用するよりも、データベースのコンピューター解析が主体となっており、研究の推進が遅れてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
データベースのコンピューター解析と並行して、次年度からは、研究試薬や動物を購入するための物品費、研究を加速するための旅費、人件費・謝金を活用しながら、研究を加速していきたいと考えている。
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