研究課題
がん治療時の口内炎は重篤であるにもかかわらず、その発症は不可避で対症療法で症状を軽減するものと考えられてきた。しかし口腔の「炎症防御機能を賦活化し、侵襲に対する抵抗性を高める」ことが本来最も効率的な戦略である。そこで基礎的研究を背景に口腔粘膜の炎症防御機構をコントロールし、口内炎発症を抑制することが本研究の主目的である。また、細胞障害因子としての物理的因子、化学的因子、生物的因子を共通して認識する細胞内炎症コントロールキー分子を絞り込むことが本研究の第二の目的である。口腔粘膜は重曹扁平上皮であり、大腸・小腸のような腺上皮を持つ組織とは異なる構造を持つ。粘膜免疫機構の解明は近年進んでいるが、口腔粘膜はこれら解明されている腺上皮の粘膜免疫機構とは異なることが予想される。今回、本研究を進めるうちに、化学療法中に行う口腔ケアに相当する物理的刺激に対する口腔粘膜の特異的炎症反応を見出した。そこでその解析を中心に研究を進めた。口腔粘膜が皮膚などの組織に比較して治癒が早いことは経験的に知られている。申請者は、ラットを用い、in vivo実験でそれを再現したうえ、その機構には、従来知られている口腔粘膜上皮内機構のほかに、外的環境や、口腔粘膜上皮下組織の内的環境が関わることを示した。そのコントロール因子の候補を複数検討したが、本研究期間内ではその候補を絞り切ることはできなかった。現在その結果をまとめ、公表予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
九州歯会誌
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
FASEB J.
巻: 30 ページ: 2591-2601
10.1096/fj.201500097R