がん治療時の口内炎は重篤だが発症は不可避で、対症療法で症状を軽減してきた。 しかし口腔の「炎症防御機能を賦活化し、侵襲に対する抵抗性を高める」ことが本来最も効率的な戦略である。 そこで基礎的研究を背景に口腔粘膜の炎症防御機構をコントロールし、口内炎発症を抑制することをめざした。本研究では、化学療法中に行う口腔ケアに相当する物理的刺激に対する口腔粘膜の特異的炎症反応を見出したので、その解析を中心に研究を進めた。すなわち、ラットを用い、in vivo実験でそれを再現したうえ、その機構には、従来知られている口腔粘膜上皮内機構のほかに、外的環境や、口腔粘膜上皮下組織の内的環境が関わることを示した。
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