研究実績の概要 |
本研究の目的はヒト口腔粘膜上皮におけるタイトジャンクションの分布や構造を三次元的に観察できる方法を確立することである。当初はマウス口腔粘膜におけるタイトジャンクションの三次元的観察方法を確立することを第一段階の目標としていた。これまでに報告されているマウス耳介上皮における共焦点顕微鏡と3D構築ソフトを用いた観測方法を基本として、より口腔粘膜上皮に適した方法を確立するために染色時間や試薬濃度のといった条件を検討した。その結果、1次染色時間を増加することで従来の方法よりもより鮮明にマウス口腔粘膜のタイトジャンクションの構成タンパク質であるClaudin-1、Claudin-4や裏打ちタンパク質であるZO-1の観察が可能となった。得られた実験結果を基に、健常ヒト口腔粘膜上皮におけるプロトコルを確立し、同様にTJ構造を三次元的に観察することが次段階の目標としていたが、現時点では実験条件の検討までしかできておらず、今後、口腔粘膜上皮を角化・非角化上皮に分類し、表面バリア機能の脆弱と考えられる頬粘膜や舌下粘膜などの非角化上皮と口蓋、舌、歯肉といった角化上皮におけるTJ分布、また各種接着蛋白(claudin,ZO-1)発現についてはリアルタイムPCR法なども用いながら比較検討を行うことが課題となる。
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