研究課題
早期の顎裂閉鎖を目的として、口唇形成術施行時に歯肉骨膜形成術(GPP)が行われている。この際、成績向上を目的として、GPPと共に患児由来の骨髄移植が行われることがあるが、骨髄液採取により患児への外科的侵襲が生じる。そこで未分化性が高く、出生後不要となるヒト臍帯由来間葉系幹細胞(hUCMSCs)を用いたGPPの実現を目指して、至適なhUCMSCsの分離、培養方法を検討した。産科医院で同意を取得後、帝王切開を施行した満期妊産婦から採取したヒト臍帯を酵素処理(EZ)により分離し、培養を行った(UC-EZ)。継代数2のUC-EZを磁気分離法(MACS)により、間葉系幹細胞マーカーであるCD146陽性細胞の分離を行った(UC-MACS)。UC-EZ、UC-MACSともに、継代数3にて、細胞形態評価、細胞増殖能評価、表面抗原解析、遺伝子発現解析、多分化能解析を行った。細胞形態は、UC-EZの多くは紡錘形の線維芽細胞様細胞を呈したのに対し、UC-MACSは球状で胚性幹細胞様の形態を示した。細胞増殖能評価では、倍加時間はUC-EZよりもUC-MACSでより長かった。表面抗原解析では、2種の細胞ともすべての間葉系幹細胞マーカーが陽性であった。遺伝子発現解析より、UC-EZではNanogとOct3/4は陽性だったが、Sox2は陰性であったのに対し、UC-MACSではすべての未分化維持関連遺伝子の発現が認められた。多分化能解析において、2種の細胞ともAlizarin red陽性の石灰化物とOil red O陽性の脂肪小滴の形成を認め、特にUC-MACSにおいてより多くの石灰化物を認めた。以上の結果より、UC-MACSはUC-EZよりもMSC特性の高い細胞集団であると考えられる。
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