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2016 年度 実施状況報告書

歯の再植治療モデルマウスを用いた歯根膜再生への試み

研究課題

研究課題/領域番号 15K15762
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

岡 暁子  福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60452778)

研究分担者 敦賀 英知  弘前大学, 保健学研究科, 教授 (30295901)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード歯根膜再生 / TGF-β / Periosatin / ヘルトビッヒ上皮鞘
研究実績の概要

歯を再植する際に、歯根膜再生を有利に促す細胞外マトリックス蛋白を探索するため、解析を進めている。
組織学的解析として、口腔粘膜上皮および口腔粘膜由来の細胞が赤色に標識されるマウス、生後10日齢のK14-cre;Rosa26-tdTomatoマウス下顎第一臼歯を用いて、パラフィン切片を作成し、免疫学的組織学的染色法にて、歯根膜形成に重要とされるPeriostinの発現パターンを観察した。Periostinは、形成期歯根膜結合組織に広く発現していたのに加え、ヘルトビッヒ上皮鞘の断裂が起きているtdTomato陽性の上皮細胞周囲や歯根象牙質表面に発現がみられた。一方で、歯根形成部先端の連続したtdTomato陽性の上皮細胞では、Periostinの発現は認められなかった。興味深いことに、この部位、ヘルトビッヒ上皮鞘と歯乳頭より分化した象牙芽細胞が隣接しているところでは、象牙芽細胞層のほうににTGF-βの強い発現を認めた。この所見は、象牙芽細胞でのTGF-βの発現の上昇が、ヘルトビッヒ上皮鞘細胞に何らかの影響を与えている可能性を示唆するものであった。
そこで、さらにin vitroでの解析を開始した。細胞は、マウスHERS由来細胞株であるHERS01a細胞を用いた。培地にTGF-β1を添加し、セメント芽細胞/骨芽細胞マーカー、歯根膜線維芽細胞マーカーの発現変化を解析した。HERS01a細胞においてTGF-β1刺激は、E-cadherinの発現を抑制し、N-cadherinを強く促進することが示され、上皮-間葉転換(EMT)を惹起する可能性が示唆された。また、TGF-β1刺激によって歯根膜線維芽細胞マーカーとなる細胞外マトリクス、FibronectinおよびPeriostinが有意に増加しており断裂したHERS細胞は歯根膜形成に重要な細胞外マトリクスを発現するようになることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯根膜再生に重要となる細胞外マトリックス蛋白の同定のため、歯根-歯根膜発生期のマウス臼歯の組織切片から、Periostin蛋白の発現パターンを明らかとした。
また、このPeriostinが歯根形成期の歯根象牙質表面に存在している上皮細胞周囲にも見られることがわかり、昨年度に着目したFibrillinに加え、Periostinも歯根膜再生を担う重要な細胞外マトリックス蛋白であることが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

TGF-βは、これまでに同定した歯根膜を構成する細胞外マトリックス蛋白、FibrillinおよびPeriostinの発現を促進する働きを持つ。歯根膜組織においてTGF-βがどのように存在し、恒常性維持に寄与しているかをさらに詳しく調べていく。当初より予定している、LTBP蛋白の発現については、免疫組織学的解析を満足させる抗体が入手できなかったため、in situ hybridyzationに切り替えて、発現解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

今年度において、5,757円の残額が発生したが、金額が低いため、次年度への繰り越しとした。

次年度使用額の使用計画

残額は、29年度の物品費とする予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Hertwig's epithelial root sheath cells contribute to formation of periodontal ligament through epithelial-mesenchymal transition by TGF-β.2017

    • 著者名/発表者名
      Itaya S, Oka K, Ogata K, Tamura S, Kira-Tatsuoka M, Fujiwara N, Ohtsu K, Tsuruga T, Ozaki M and Harada H.
    • 雑誌名

      Biomedical Research

      巻: 38 ページ: 61-69

    • DOI

      10.2220/biomedres.38.61

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of fibrillin application on periodontal ligament regeneration in mouse model of tooth replantation.2016

    • 著者名/発表者名
      Tamura S, Oka K, Itaya S, Kira-Tatsuoka M, Toda M, Higa A, Ozaki M.
    • 雑誌名

      J. Hard Tissue Biol.

      巻: 25 ページ: 295-304

    • DOI

      10.2485/jhtb.25.295

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 上皮-間葉転換を起こしたヘルトヴィッヒ上皮鞘は、歯根膜を構成する細胞外基質を産生する2016

    • 著者名/発表者名
      岡 暁子 板家 智 緒方佳代子 戸田雅子 藤原尚樹 大津圭史 立岡迪子 尾崎正雄 原田英光
    • 学会等名
      第58回 歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      札幌市札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-08-24 – 2016-08-26

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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