研究実績の概要 |
歯を再植する際に、歯根膜再生を有利に促す細胞外マトリックス蛋白を探索するための解析を進めている。これまでに、マウス上顎第一臼歯を抜歯後、再植を行い歯根膜再生を解析する、「マウス再植モデルの作成方法」を確立し組織学的解析を行ってきた。歯の再植において歯根周囲へFibrillin蛋白を作用させると、歯根膜結合組織の再生が促進されることを明らかにした。これらの成果をまとめ、論文による報告を行った。 口腔粘膜上皮および口腔粘膜由来の細胞が赤色に標識されるマウス、生後10日齢のK14-cre;Rosa26-tdTomatoマウス下顎第一臼歯を用いて、歯根膜形成に重要とされるPeriostinの発現パターンを観察した。さらに、in vitroでの解析にて、ヘルトヴィッヒ上皮鞘由来細胞株HERS01a細胞においてTGF-β1刺激によるPeriostinおよびFibronectinの発現上昇を確認し、上皮-間葉転換(EMT)作用を明らかとした。これらの結果についても論文による報告を行った。 新たな試みとして、HERS01a細胞を用いて行った解析と同様に、歯根膜線維芽細胞に対するTGF-β1刺激の影響について検討し発現上昇する細胞外マトリックス蛋白の同定を試みた。その結果、歯根膜線維芽細胞では、TGF-β1刺激によるFibrillin, Tenascin C発現上昇が確認された。これら蛋白がヘルトヴィッヒ上皮鞘細胞および歯根膜線維芽細胞の細胞動態へ与える影響を明らかにするために、Fibrillin, Tenascin コーティングディッシュを用いて、細胞遊走能、細胞増殖能を比較検討した。
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