研究課題/領域番号 |
15K15765
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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研究分担者 |
山口 佳則 大阪大学, 工学研究科, 招へい教授 (20386634)
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (30263304)
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60452447)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ラマンイメージング / 歯根膜細胞 / 分化 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、ラマンイメージングを用いて歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化過程を経時的に解析した。平成28年度の研究成果について以下に報告する。 我々は前年度までに、ヒト歯根膜細胞の石英ガラス基板上での長期培養にフィブロネクチンコートが有用であること、そして、フィブロネクチンコートがラマン分光測定に大きな影響を及ぼさないことを実証した。今年度は、まず、ラマン分光法によるヒト歯根膜細胞の経時的解析を実現するため、同一細胞を長期的に経時測定可能な実験系の確立を行なった。本研究では、試料細胞を培養したディッシュのX-Y平面おける回転を制御するため自作のポジショニングプレートと、X/Y座標を制御するためにグリッド付ガラスディッシュのグリッドを利用した。本手法による定点観察の精度を調査したところ、誤差1 um未満の精度で定点を観測することが可能であったことから、十分な精度で培養ディッシュを定点にポジショニングが可能であると判断した。次に、同装置を利用し、ラマン分光法によるヒト歯根膜細胞の経時的解析を実施した。ヒト歯根膜細胞に対し、分化誘導前、分化誘導開始後3、6、9、14日にラマン分光測定を行なったところ、シトクロムcやHAなど、帰属を調査中のものを含めれば、合計4種の生体分子の経時測定に成功した。HAは、分化誘導開始後6日以降にそのピーク強度が増加していく一方で、シトクロムcや帰属調査中の2物質のラマンピークの強度は日毎に減少傾向を示した。しかし、その減少は三者三様であり、これらの物質がそれぞれ異なる種類であることが推察された。中でも、帰属調査中のうちの1つのラマン散乱光強度の減少開始時期とHAのラマン散乱光強度の増加開始時期がほぼ一致しており、本物質が石灰化過程の開始前後に深く関与している可能性が示唆された。
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