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2016 年度 実施状況報告書

細胞性バイオマーカーを用いたインプラント疾患の診断とデバイス開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K15767
研究機関徳島大学

研究代表者

木戸 淳一  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (10195315)

研究分担者 成石 浩司  徳島大学, 病院, 講師 (00346446)
永田 俊彦  徳島大学, 本部, 理事 (10127847)
板東 美香  徳島大学, 病院, 助教 (10510000)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードインプラント粘膜炎・周囲炎 / 疾患診断 / バイオマーカー / 診断デバイス / インプラント周囲溝液
研究実績の概要

本課題は,インプラント周囲溝滲出液(PICF)中のバイオマーカーを用いてインプラント疾患の診断を目指す研究である。平成28年度までに28名の被験者から69個のPICFサンプルを採取し,採取部位の歯周組織検査を行った。
平成28年度は,インプラント周囲炎部位由来のPICFサンプルをプロテオ―ム分析し,Mascot検索を行った。その結果,複数のImmunoglobulin類, Calprotectin, Lactoferrin,コラーゲン断片や未登録の産物を含め延べ2427個の蛋白産物が検出された。
また,採取した一部のPICFサンプルを用いて炎症関連蛋白であるカルプロテクチンと骨吸収マーカーであるNTxの含有量のELISA測定を行った。その結果,カルプロテクチンの平均濃度は健常部位由来PICFサンプルの83.7 ng/microLに対して,インプラント周囲炎部位由来サンプルでは264.9 ng/microLとなり,インプラント周囲炎サンプルで約3倍の有意に高い濃度を示した。一方,NTx濃度はインプラント周囲炎サンプルで4.25 ng/microL,健常インプラントサンプルで1.77 ng/microLであり,インプラント周囲炎サンプルにおいて約2.4倍の高い値を示した。
さらに現在,インプラント周囲炎治療として歯周組織を切除する必要のある患者を対象に歯周組織中のmiRNA分析を行うための組織提供者を募集している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成28年度にインプラント周囲溝(健常部位およびインプラント周囲炎部位)から採取したPICFを用いて蛋白質のプロテオ―ム解析を行う予定であったが,採択された研究費の都合からインプラント周囲炎サンプルの分析のみとなり,対照となる健常部位由来のPICFとの成分比較を行うことができなかった。また,Mascot検索でインプラント周囲炎サンプル中の蛋白質が非常に多数であったため(延べ2427個)最適な診断マーカーの選定が困難となった。これに伴い診断マーカーを測定するデバイス開発の基礎研究が遅れている。

今後の研究の推進方策

平成28年度の結果からPICF中のカルプロテクチンおよびNTxがインプラント周囲炎の有用な診断マーカーである可能性が示唆された。そこで,平成29年度も継続してPICFサンプルを採取し,2つの蛋白質にフォーカスして調べる予定である。カルプロテクチンについてはELISAおよび歯周炎診断用に開発したイムノクロマト(IC)チップを用いて測定するとともに,NTxはELISA法で測定し,これらのマーカーレベルと臨床的指標との相関性について分析を行う。
また,当初の計画に基づきインプラント周囲炎患者で,治療上切除されるインプラント周囲の組織の提供を受け,この組織由来のmiRNAの分析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度後半~29年度にかけてインプラント周囲炎由来の歯周組織中のmiRNA分析(委託分析)を計画していた。平成28年度は,分析に適応する歯周組織サンプルを採取することができず,当初予定していたmiRNA分析費を平成29年度に繰り越すことになったため。

次年度使用額の使用計画

平成29年度にmiRNA分析を行うためのインプラント周囲組織サンプルを採取して,miRNA分析を行う予定である。また,カルプロテクチンおよびNTxのELISA法やICチップ法での測定を進め,これらのPICF中レベルと臨床指標との相関分析を行う。
また,PICF中のNTxを測定するデバイスの開発に関連し,NTxの抗原抗体反応の至適条件についてELISAプレートなどを用いて基礎研究を行う。

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公開日: 2018-01-16  

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