研究実績の概要 |
慢性炎症は、糖尿病の原因・結果双方の病態に深く関わっているが、その詳細な機序については、不明な点も多い。肥満により脂肪細胞が肥大化することで、マクロファージやリンパ球などの免疫細胞が増殖し、炎症性サイトカインやアディポカインと呼称される生理物質が産生される。我々はこれまで、歯周病と肥満とが相乗作用で、全身健康状態の悪化に関連するのではないかという仮説に基づき、肝細胞やヒト由来好中球、単球で歯周病由来因子刺激により各種サイトカインおよびアディポカイン産生が上昇する結果を得てきた。歯周病と認知症は、どちらも老化に伴い症状が進行していく疾患であるが、関連があるのか、肥満―歯周病―認知症で相互作用があるのかなどの報告は全くなされていない。認知症は、糖尿病との関連やアディポカインの1つであるレプチンとの関連が数多く報告されている。 また、オートファジーは、不要な蛋白のターンオーバーと障害を受けた細胞内小器官の除去を行うため、加齢にとって非常に重要な役割を果たしている。加齢は、オートファジーの低下(ATG5, ATG7, BECN1発現の低下)でもあり、認知症の進行に深く関わることが報告されている。 ヒト由来神経細胞株に、歯周病原細菌由来LPS刺激およびレプチンや高グルコースを加え、オートファジー関連因子の発現に違いがあるのかどうか、またイメージングサイトメーターにより、オートファジー関連因子の発現と細胞形態に関連があるのかについて解析する。
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