研究課題/領域番号 |
15K15786
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
齋藤 やよい 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (40242200)
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研究分担者 |
大黒 理惠 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70510345)
大河原 知嘉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (80632091)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 注視 / Clinical Grasp / 危険予知 |
研究実績の概要 |
1.Clinical Graspの実験課題映像を作成するために、公募に応じた8名のICU看護師を対象に、課題映像候補の2本の動画と1本の静止画を視聴してもらい、映像の評価をしてもらった。その結果、動画は撮影者の撮影意図に影響されるため視聴者は見る視点を強制される印象を持つ、人の情報を含むと系統的な見方が優先される、見慣れない物があると無意識に視線が向いてしまう、などの意見が出され、(1)静止画、(2)人の情報を含まない、(3)構成する要素は共通性の高いもの、(4)画像に関連する患者情報は事前に提示する等の条件が示された。また視覚情報とともに、触覚情報に関連するClinical Graspエピソードが多く確認され、FingerTPSによる触覚情報を取り入れに関する課題を加えた。
2.観察能力が優れていると推薦された看護師2名(E群)と、臨床経験1年目の看護師(N群)2名に映像視聴によるプレテストを行った。 (1)28物品のうちN群は平均8.9、E群は7.7物品を注視したが、見にくさ判断のしづらさなど映像としての問題はなかった。観察時間、総注視時間、物品の特性(危険性の有無)には差はなく、先行して行った研究と同様の成果が得られ、実験映像の妥当性が確認できた。 (2)E群は0.1~0.2秒の注視が一番多く(46.9%)、次いで0.2~0.5秒(43.9%)、0.5~1.0秒(8.6%)、1.0秒~(0.6%)の順であり、注視時間分布に偏りがあった。一方N群は0.2~0.5秒での注視回数が一番多く(48.7%)、次いで0.1~0.2秒(40.9%)、0.5~1.0秒(9.3%)、1.0秒~(1.2%)の順番であった。両群で一番多い注視時間帯が異なることは、0.2秒以下の注視にE群のClinical Graspが存在することを示唆するものであり、実験映像の適切性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はClinical Graspを表現する実験映像及び課題を作成することが重要であり、実践する看護師の評価・意見を反映しながら課題を作成した。プレテストの実施により熟練看護師と新人看護師の見方の違いを示すことの可能性、眼球運動や触覚からClinical Graspの実態を示すことの可能性の確認を行った。その結果Clinical Graspと眼球運動の間に何らかの関連性があることが確認でき、研究の方向性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はプレテストで用いた実験課題をさらに精選し、現職の看護師を対象に眼球運動、および触覚測定の関連性についての解析を行う。観察方法は当初自由な観察を計画したが、プレテストの結果にもとづき、時間制限の設定、画像との親和性の確認を行う。また、事前事後のインタビューガイドの修正を行い、眼球運動や触覚測定では明らかにできないClinical Graspに関連する思考判断についても調査する。
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